元サラリーマンFPが考える「お金に困らない夫婦」の特徴 その3
「家計の正解」を追い求める夫婦は失敗しやすい…?
家計を見直したり将来必要なお金を備えたりする際、ほとんどの人は効率的な運用方法やお得にお金を使う方法を探すだろう。
「実は、『家計の正解』を追い求めると、うまくいかないケースがあります。家族の将来のために家計を見直すのであれば、『家族の納得感』を優先することのほうが大切だと考えられます」
そう話すのは、『一度始めたらどんどん貯まる 夫婦貯金 年150万円の法則』(青春出版社)の著者で1級ファイナンシャル・プランニング技能士の磯山裕樹さん。優先すべき「家族の納得感」とは、どのようなことを指すのだろうか。
「家計の正解」よりも「家族の納得感」を重視
「『家計の正解』は世のなかにたくさんあります。例えば、『長期・積立・分散投資』『保険は掛け捨て、運用はNISAやiDeCoなどの証券口座』といったことが挙げられますが、これらはお金を最大限貯めるための正解で、『こうしたほうが得だよ』というものです。資産運用の観点からすると正解だといえますが、果たしてその方法が家族に幸せをもたらしてくれるのかと考えると、必ずしもそうとはいえないでしょう」(磯山さん・以下同)
住宅ローンを例に挙げて考えてみよう。理論的には、低金利で住宅ローンを契約し、手元に残った現金を運用して利益を得るという方法が正解といえるだろう。
「『家計の正解』で考えると、返済期間を最長に設定して返していくのが得だといえます。ただし、人によっては借金を抱えていることに不安や負担を感じることもあるでしょう。なるべく早く完済したいと考えるのであれば、頭金を多く入れたり繰り上げ返済をしたりしたほうがいいといえます」
「家計の正解」が、すべての人にとって正解となるわけではないということだ。
「いつ、どこで、何にお金を使うのかを考えるうえで、重要になるのが『家族の納得感』です。理論的な正解ではなく、家族が納得したうえでお金を使えるように、それぞれがしたいことや目標を共有する必要があります。家族と話し合わずに『家計の正解』に飛び付き、結果的に失敗したり想定と違う方向に進んだりすると後悔してしまいますが、家族と話し合って決めた行動であれば、多少失敗しても『自分たちで決めたことだもんね』と納得できますし、失敗しない努力を家族全員でできるようになるはずです」
「家族の納得感」を追求していくことで、最終的に「家計の幸適化(さいてきか)」に結び付くという。
「『家計の幸適化』とは、家族の幸せにお金を集中することです。我慢して節約するのではなく、家族が本当にしたいことにお金を回すことで、結果的にお金が貯まります。子どもの教育にお金を集中させれば、子どもが特待生になって授業料減免になるかもしれません。僕は毎日なんとなく買っていた500円程度のコーヒーをやめて水筒を持つようにしたら、年1回家族旅行に行けるようになりました」
家族の幸せにつながるお金の使い方が見えてくると、自然とそこに集中させるようになり、いままでなんとなくしていた無駄遣いが少なくなっていくのだ。
夫婦貯金 年150万円の法則』。


