元サラリーマンFPが考える「お金に困らない夫婦」の特徴 その3
「家計の正解」を追い求める夫婦は失敗しやすい…?
「家族=大切な人」が笑顔になれるお金の使い方
磯山家が行きついた「家計の幸適化」はどこにあるのか聞いてみると、「『家族=大切な人』と定義し、大切な人たちにお金を集中させること」という回答が返ってきた。
「妻や子どもたち、両親などの血のつながった家族にお金を使うことはもちろんですが、もっと大きな意味でのつながりを大切にすることが我が家の幸せだと感じたんです。だから、子どもが保育園に通っている頃に、家族ぐるみでお付き合いできる一生涯の友人を意識的につくりました。保育園の送り迎えで仲よくなったママやパパとは、子どもが別々の小学校に上がったいまでも関係が続いていて、その人たちと一緒にお金を使っています」
それぞれの家に集まってごはんを食べたり、ゲーム大会をしたり、お泊まりしたり。家族が楽しむ時間であり、友人関係が深まる場でもある。
「1万円くらいでパーティーができて、家族みんなが楽しめるってすごいなって思います。子どもたちもテーマパークに行くよりも楽しそうだし、我が家にとっての幸せってこれなのかなって」
地域の友人も巻き込むという形に至るまでには、妻や子どもたちとだけ楽しむ時期もあったそう。
「子どもだけにお金を使ったり、家族で旅行に行ったりしていたこともあったんですが、飽きてきちゃったんですよね。家族でいい旅館に泊まるのも、それはそれで楽しいんだけど、何か足りないなと思ったんです。もともと社交的な妻が家に友人を呼んでいる姿を見たときに、自分も心から『この人のために何かしたい』と思える友人をつくれば、もっと楽しいんじゃないかって思ったんです。以前の僕は尖ってて、気心の知れた友人がいなかったので(苦笑)」
実際に友人をつくって家族ぐるみで遊んでみると想像していた以上に楽しく、家族も喜んでくれたため、これが磯山家の幸せの形になったのだ。
「最近は家族で旅行するときも、人に会うことを目的にして行き先を考えたりしています。『この人に会いたいから、東京に行こう』とか『大学時代の友人と一杯飲むために、ここに行こう』って考えるのが楽しいし、家族でいろんなところに行くきっかけにもなるのかなと感じています」
気になったものを試すことで「家族の幸せ」が見つかる
家族にとっての幸せや本当にやりたいことを見つけるには、いろいろなことを試してみる期間も必要とのこと。磯山家では、炊事をラクにするサービスを試したことがあるそう。
「料理の負担を少しでも軽減できるならと、家事代行を頼んだりミールキットを使ってみたりしたんですが、どれも我が家には合わなかったんです。家事代行をお願いするにしても家には誰かしらいなければいけないし、好みの味付けにならないこともあって、それまでと違った負担やストレスが出てきてしまったんですよね」
磯山家には合わない方法だったが、家庭によっては「家事代行で料理をつくってもらっている間に、別の家事ができてラク」「このミールキットの味付けは、子どもたちの好みにぴったり」と感じる場合もあるだろう。口コミや評判、損得だけで選ぶのではなく、実際に試してみることが大事。
「教育でもレジャーでも、まずは小さく試してみて、家族に合わないと思ったらやめるという繰り返しでいいと思います。いろいろな情報を見つけて、少しずつ試してみるという積み重ねの先に、家族が本当にやりたいことがあるはずです。何事も1回始めたらずっと続けなければいけないわけではないので、気になったものからチャレンジしてみましょう」
家族の幸せを見つけることができれば、そこにお金を集中することで余分な出費が自然になくなり、家族の笑顔を増やすことにもつながる。「お得なお金の使い方」を探すのではなく、まずは家族と向き合ってみよう。
(取材・文/有竹亮介)
夫婦貯金 年150万円の法則』。

