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2028年に2兆ドル市場へ急成長!

世界が注目する「ステーブルコイン経済圏」について

提供元:東海東京証券

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皆さんは「ステーブルコイン」という言葉を耳にしたことがありますか?最近、ニュースや新聞でもこの言葉をよく見かけるようになりました。ここ数年、AI(人工知能)が「人間の判断や予測を支える技術」として急速に広がりつつありますが、ステーブルコインは「次世代の金融インフラ」として、また「デジタル決済から始まる金融革命」として、今、世界の注目を集めています。

今回は、ステーブルコインの仕組みや広がり、そして新たな可能性について解説していきます。

次世代の決済・送金手段として期待される「ステーブルコイン」

ステーブルコインは、米ドルや日本円といった通貨と同じ価値を保つように作られた新しいタイプのデジタルのお金です。具体的には、法定通貨(ドル・円)を裏付け資産として1:1の価値で交換できるように設計された「法定通貨担保型」や、他の暗号資産を担保とする「暗号資産担保型」など様々なタイプがあります。

たとえば、ビットコインのような暗号資産(仮想通貨)は価格の上下が大きいですが、ステーブルコインは価格がほとんど変わらないのが特徴です。特に「法定通貨担保型」は価格の安定性が高いことから、ステーブルコインの主流になりつつあります。そのため、「安心して使えるデジタル通貨」として、世界中で利用が広がっています。

また、海外への送金がすぐにできる(迅速な決済)、送金手数料がとても安い(低コスト)などに加え、「価格の安定性」という特有のメリットも持ち合わせていることなどから、各国の中央銀行が検討している「デジタル円」や「デジタルドル」にもつながる仕組みとして、注目度が高まっているテーマです。

<ステーブルコインの主な特徴>

(東海東京証券作成)

諸外国におけるステーブルコインに関する動向 -関連法整備の進展と市場拡大-

昨今、米国を中心に様々な国でステーブルコインに関する枠組み整備が活発化しています。米国では、2025年1月にトランプ大統領が「デジタル金融テクノロジーにおけるアメリカのリーダーシップ強化」と題した大統領令に署名し、デジタル資産業界の成長を支援する姿勢を明らかにしました。また、7月にはジーニアス(GENIUS)法が成立し、米ドル連動型トークンに関する初の連邦レベルの指針が示されました。

これにより、発行者の厳格化や準備金の管理義務付け(米ドル、米短期国債などの流動資産)が定められ、ステーブルコインの信頼性が向上しました。また、反CBDC監視国家法案やクラリティ(CLARITY)法案といった法整備も進んでいます。

EUにおいては、2024年6月からMiCA規制(The Markets in Crypto-Assets Regulation)と呼ばれる包括的な暗号資産市場規制において、ステーブルコインの発行に関するルールが明確化されています。直近では、複数の大手金融機関によるユーロを裏付け資産とするステーブルコイン発行に向けた新会社の立ち上げが発表されました。2025年8月時点では、米ドル建てステーブルコイン「USDC」の発行体であるCircle社を含む10社以上の事業者がMiCA規制に準拠したステーブルコインの発行を承認されています。

こうした動きを背景に、ステーブルコイン市場は急速に拡大しており、2024年の年間取引額は15.5兆米ドルに達し、大手クレジットカード会社を超える規模となりました。市場規模は、2028年には2兆米ドル、2030年には最大3.7兆米ドル(※)に達すると予測されています。つまり、ステーブルコインは単なる仮想通貨ではなく、これからの金融のインフラを変える存在になりつつあるのです。

(※)米国財務省借入諮問委員会(TBAC)報告書より

日本におけるステーブルコインに関する動向 -関連法整備の進展と市場拡大-

金融庁は2023年6月に施行された改正資金決済法で、国内のステーブルコインの発行、流通に関する法整備を行いました。これに基づき、2025年8月には新興フィンテック企業JPYC株式会社が、金融庁からステーブルコインの発行に必要な資金移動業の登録を受け、ステーブルコイン発行者の第一号となる見込みです。

また、各種報道によると、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行はステーブルコインを共同で発行することを検討しており、まずは三菱商事の社内・社外の資金決済に使えるようにするとのことです。30万社以上の主要取引先を有する3メガバンクが手を組むということで、日本でのステーブルコインの普及に弾みがつきそうです。

【まとめ】

今回は、「ステーブルコイン」について見てきました。ステーブルコインは、単なる暗号資産の一種ではなく「次世代のグローバルな金融・決済インフラ」として、これからの金融インフラを支える大きな可能性を持っています。

また、近年のAI技術の急速な進歩に伴い、ビジネスや日常生活におけるAI導入が急拡大する中、AIエージェント※による自律的決済でのステーブルコインの活用等も、そう遠くない将来に実現されるかもしれません。(※AIエージェントとは、人間の指示や目標に基づき、自律的に情報を収集・判断し、さらには外部サービスとやり取りをして業務を遂行する高度なAIを指します。人間に代わって予約を取ったり、決済を代行したりできます。)

まだまだ発展の途中にある分野ですが、確実に世界の流れを変えつつあります。今後、この新たな経済圏をいかに活用し、持続可能な成長へと繋げていけるかが日本および世界の金融業界にとっての重要な課題となりますし、こうした新しい技術や仕組みを理解し、ご自身の資産形成やライフプランにどう活かすかがカギとなりそうです。

(東海東京証券)

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