宇宙を普通の場所にするために
日本の「小型衛星」をリードするアクセルスペース、低コスト開発の裏側と進化するサービスの現在地
衛星の開発にとどまらない、アクセルスペースの事業
小型衛星の開発からスタートしたアクセルスペースは、現在、より広い領域で事業を展開している。そのひとつが「AxelGlobe」というサービスだ。これは、同社で開発した複数の衛星を宇宙で運用し、そこで取得した地球の観測データや分析結果を企業などに提供するもの。2025年時点で5機の衛星を運用しており、2026年には、より性能を高めたな自社の衛星を7機打ち上げてAxelGlobeに活用する。
「AxelGlobeは、地球上のあらゆる場所を撮影でき、それらのデータは農業や地図制作、不動産のトレンド分析など、さまざまな用途で活用されています」。そう説明するのは、同社で衛星データの分析や提供などを行う星崎氏だ。
たとえば農業については、衛星画像をもとに、生育している農作物の健康状態を可視化するという。
植物の葉は、さまざまな波長の光を反射しており、その反射の様子を調べることで健康状態を解析できると考えられている。AxelGlobeで活用している人工衛星は、人の目に見えるものから目に見えないものまで、幅広い波長の光を捉えられるため、農作物の反射の様子を明らかにできる。そこから健康状態を分析していく。
「それらのデータを提供するのに加え、近年は、1年を通じて同じ農地を撮影し、その画像分析から収穫量を予測するモデルを開発しました。このモデルによる予測結果も提供しています」(星崎氏)
地図制作においては、さまざまな地域を撮影し、その画像を組み合わせて地図のベースにするといった活用があるという。衛星は周回しており、同じ地点を一定周期で繰り返し撮影することが可能。AIを使って雲のある画像を取り除き、複数の衛星画像を合成することで、雲のない鮮明な地図用の画像が作れるという。
不動産のトレンド分析については、衛星画像から都市構造の変化を抽出し、まちづくりのトレンドを把握したり、次の都市開発のヒントにしたりという活用方法があるという。他のデータと組み合わせて、都市構造の変化と人の動きの関係を明らかにするといったこともできるだろう。
これ以外にも、災害が発生した地域の状況把握や、陸地から離れた海上の監視など、幅広い用途でAxelGlobeが活用されている。



