NISAの口座変更はいつでもできる?メリットやデメリットはあるの?
提供元:Money Canvas
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NISAは金融機関によって特徴が異なるため、「取引口座を変更したい」と思う人もいるでしょう。NISA口座はいつでも自由に切り替えられるわけではなく、一定の制約があるため、タイミングは慎重に判断する必要があります。
本コラムでは、NISA口座の金融機関変更の基本や流れ、メリットとデメリット、よくある疑問をわかりやすく解説します。
NISAの口座変更の基本
まずは、NISA口座の金融機関変更の基本的なルールを押さえておきましょう。
NISA口座は「年単位」で金融機関変更が可能
NISAは、投資で得られた利益(売却益、配当金など)が非課税になる制度です。NISA口座は、すべての金融機関を通じて1人1口座のみ開設できます。 すでにNISA口座を開設している場合、年単位であれば金融機関の変更が可能です。*1
口座変更ができるタイミング
NISA口座の金融機関変更手続きができるタイミングは、変更したい年の前年10月1日から変更したい年の9月30日です。*2
たとえば、2026年から新しい金融機関でNISAの取引を開始したい場合は、2025年10月1日から2026年9月30日の間に変更手続きを行う必要があります。
なお、変更したい年にNISA口座で一度でも商品の買付を行うと、その年は金融機関の変更ができなくなるので注意が必要です。仮に2025年1月に変更前のNISA口座で投資信託を購入すると、金融機関を変更できるのは2026年からとなります。
NISAの金融機関を変更したい場合は、自動的に買付されることがないように、変更前の金融機関で積立設定を解除しておきましょう。
NISA口座の金融機関変更の流れ
一般的に、NISAの口座変更は以下の流れで手続きを進めます。
1. 変更前の金融機関に口座変更の請求
2. 新しい金融機関でNISA口座開設手続き
3. 税務署の審査後、NISA口座の変更完了
それぞれくわしくみていきましょう。
変更前の金融機関に口座変更の請求
まずは、現在NISA口座を利用している金融機関で口座変更の手続きを行います。 「金融商品取引業者変更届出書」を提出すると、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が届きます。*3
両者の違いは以下のとおりです。*4
• 勘定廃止通知書:年単位でNISA口座を変更する場合
• 非課税口座廃止通知書:NISA口座を廃止した後、NISA口座を再開設する場合
新しい金融機関でNISA口座開設手続き
次に、新しい金融機関でNISA口座の開設手続きを行います。 変更先の金融機関が銀行の場合は「普通預金口座」および「投資信託口座」、証券会社の場合は「証券総合口座」が必要です。保有していない場合は、NISA口座と併せて口座開設を行いましょう。
新しい金融機関へ提出する書類は以下のとおりです。
• NISA口座開設届出書
• 勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書
• 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
必要書類は金融機関によって異なる可能性があるため、事前に確認しておくとスムーズです。
税務署の審査後、NISA口座の変更完了
新しい金融機関へ必要書類を提出した後は、税務署にて審査が行われます。 税務署の審査が完了すると、NISA口座の金融機関変更の手続きは完了です。基本的に、9月までに手続きをした場合(その年にNISAで買付なし)は変更完了後、10月以降に手続きをした場合は翌年から新しい金融機関で取引可能となります。*4
NISA口座の金融機関変更は、手続き完了まで1ヵ月程度かかることもあります。提出書類などに不備があればさらに時間がかかるため、余裕をもって手続きを行いましょう。
NISA口座の金融機関を変更するメリット
NISA口座の金融機関を変更すると、以下のようなメリットを得られる可能性があります。
投資対象商品の選択肢が広がる
NISAの取扱商品数や種類は金融機関によって異なります。 そのため、金融機関を変更すれば、投資先の選択肢が広がるかもしれません。
たとえば、「A社では購入したい投資信託を取り扱っていないが、B社なら購入できる」といったケースも考えられます。商品ラインアップを確認し、よりニーズに合った投資先が見つかったら金融機関変更を検討するのもよいでしょう。
ただし、今後も新商品が出てくる可能性があり、運用成績は時期によって変化します。NISAの口座変更は年単位での対応となるため、慎重に判断することが大切です。
サービス内容や利便性が向上する
NISA口座の金融機関を変更することで、サービス内容や利便性の向上が期待できます。
一部の金融機関では、取引状況に応じてポイントを付与するサービスを提供しているケースもあります。貯まるポイントの種類や条件などは金融機関によって異なるため、「よりポイントが貯まりやすい金融機関へ乗り換える」という考え方もあるでしょう。
また、Webサイトやアプリの見やすさ、操作性などを比較し、自分に合った金融機関に変更することで利便性が向上する可能性もあります。
NISA口座の金融機関を変更するデメリット・注意点
一方で、NISAの口座変更には以下のようなデメリットや注意点もあります。
好きなタイミングで自由に変更できない
先述のとおり、NISA口座の金融機関は年単位でしか変更できません。思い立ったらすぐに変更できるわけではなく、反映されるまでに時間がかかります。
安易に変更すると、投資したいタイミングで取引ができない可能性もあるため注意が必要です。
NISAの保有商品を新しい金融機関に移管できない
変更前のNISA口座で保有している商品は、新しい金融機関のNISA口座へ移管できません。売却しなければ、変更前の金融機関で非課税のまま運用を続けられます。ただし、金融機関・口座が増えるため、管理に手間がかかり、家計全体での保有資産がわかにくくなるかもしれません。*2
1つの金融機関でまとめて管理したい場合は、変更前のNISA口座の商品を売却し、新しい金融機関のNISA口座で買い直す方法もあります。
NISAの口座変更に関するよくある質問
ここでは、NISAの口座変更に関するよくある質問を紹介します。
NISA口座の金融機関変更ができる期間は?
NISAの口座変更手続きができる期間は、変更したい年の前年10月1日から変更したい年の9月30日です。なお、変更したい年の1月1日以降にNISA口座で買付をすると、その年は金融機関を変更できなくなります。*4
変更手続き完了までにかかる時間は?
NISA口座の金融機関変更は、手続き完了まで1ヵ月程度かかります。書類のやり取りや税務署の審査が必要になるためです。想定以上に時間がかかる場合もあるため、余裕をもって申し込みを行うことが大切です。
変更後、変更前のNISA口座の保有商品はどうなる?
変更前のNISA口座で保有している商品は、変更後も以前の金融機関で非課税のまま運用を続けられます。売却は可能ですが、変更前の金融機関のNISA口座で新規買付はできません。*3
変更すると非課税投資枠はどうなる?
NISA口座の金融機関を変更すると、その年の非課税投資枠は新しい金融機関へ引き継がれます。また、1,800万円の非課税保有限度額は通算されます。
まとめ
NISA口座の金融機関変更はいつでも自由にできるわけではなく、年単位での対応となります。金融機関変更は「投資対象商品の選択肢が広がる」「サービスや利便性の向上」といったメリットがある一方で、既存商品を移管できないなどのデメリットもあります。
NISAの口座変更を検討する際は、その必要性を明確にしたうえで、早めに手続きを行うことが重要です。
本コラム執筆時点における情報に基づいて作成しておりますので、最新情報との乖離にご注意ください。
本コラムの内容は、特定の金融商品やサービスを推奨あるいは勧誘を目的とするものではありません。
最終的な投資判断、金融商品のご選択に際しては、お客さまご自身の判断でお取り組みをお願いいたします。
出典
*1 金融庁「NISAを知る」
*2 三菱UFJ銀行「NISA口座の金融機関を変更するには?手続きのタイミングやデメリットなど徹底解説!」
*3 三菱UFJ eスマート証券「NISA口座の金融機関変更」
*4 三菱UFJモルガン・スタンレー証券「NISA口座の金融機関変更」
(Money Canvas)
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