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2025年10月1日にスタートした「教育訓練休暇給付金」ってなに?
「教育訓練休暇給付金」を受け取るための要件
ただし、「教育訓練休暇給付金」はいつでも誰でも給付を受けられるわけではないようだ。ポイントとなるのは、厚生労働省の説明にもある「労働者(雇用保険の一般被保険者)」。以下の2つの要件を満たすことで、支給の対象となる。
●「教育訓練休暇給付金」の支給対象者
(1)休暇開始前2年間に12カ月以上の被保険者期間があること(※1)
(2)休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること(※2)
※1 原則、11日以上の賃金支払いの基礎となった日数がある月が算定の対象。
※2 離職期間があったとしても、12カ月以内であれば離職前後の期間を通算できる。ただし、過去に基本手当(失業給付)や教育訓練休暇給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金を受けたことがある場合、通算できない期間が生じる場合がある。
「これらの要件から、就職したばかりの方は対象にならない可能性が高いといえます。また、雇用保険の一般被保険者が対象なので、1週間の所定労働時間が20時間に満たないパート・アルバイトの方や自営業の方は対象になりません。そして、もうひとつ押さえておきたいのが、休暇に関する要件です」
●「教育訓練休暇給付金」の支給対象となる休暇
(1)就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
(2)労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇(※3)
(3)次に定める教育訓練等を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校または各種学校が提供する教育訓練等
・教育訓練給付金の指定口座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの(司法修習、語学留学、海外大学院での博士号の取得等)
※3 収入を伴う就労を行った日、教育訓練休暇とは異なる休暇・休業(有給休暇や育児休業等)を取得した日は教育訓練のための休暇とは認められず、当該日については支給を受けられない。
「ポイントとなるのは(1)の項目。会社が教育訓練のための休暇制度を設けており、その制度を使って休暇を取得した場合のみ、『教育訓練休暇給付金』が支給されることになります。このような要件になっているのは、労働者が教育訓練のための休暇を取得する際、会社がハローワークに賃金月額証明書などを提出するといった手続きが発生するからでしょう。労働者が会社に申請せず、ハローワークに『休暇中に学習する』と申し出ても給付は受けられません。また、『30日以上の無給の休暇』という要件もあるので、1週間程度の短い休暇は対象になりません」
教育訓練を目的とした中長期的な休暇が支給対象となるよう、厳格な要件が定められている。ちなみに、受給期間や金額はどうなっているのだろうか。
「給付を受けられる期間は、『休暇開始日から起算して1年間であり、受給期間内の教育訓練休暇を取得した日について給付を受けられる』と定められています。つまり、休暇を開始してからの1年間は、その間に分割して休暇を取得しても、取得した日数分の給付金が支給されるというわけです。例えば、30日休暇を取り、半年間復職した後、さらに30日休暇を取るというケースであれば、60日分支給されることになります」
ただし、給付を受けられる日数は雇用保険に加入していた期間によって異なるため、取得した休暇の全日程分の給付金が支給されるとは限らない。例えば、雇用保険の加入期間が6年であれば、給付日数の上限は90日となる。
●給付日数
「給付額に関しては、失業中に雇用保険から支給される基本手当(失業給付)の算定方法と同様で、『休暇開始日の直前の6カ月に毎月決まって支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)』とされており、賃金が低いほど給付の割合が高くなります。概算ではありますが、月給30万円の30歳の人なら日額6207円、月給40万円の40歳の人なら日額6666円、月給50万円の50歳の人なら日額8333円程度となるでしょう」


