想像以上の“真面目な語り口”に注目
新たに金融庁の参事官となった「ワニーサ」を直撃! 金融経済教育を日本で広めるヒントを聞いた
政府目標「20%」達成に向けて、知事を表敬訪問
――参事官に就任してからは、具体的にどのような活動をされているのですか?
ワニーサ 今年の春から、全国キャラバンというプロジェクトを展開しています。これは、大きく2つの柱からなります。1つは、全国の都道府県知事を表敬訪問して、その地域での金融経済教育推進に向けた連携をお願いすることです。
もう1つは、さまざまな地域で実施する親子向けの金融経済教育イベントです。各地の財務局と共催しており、今年は全国10か所程度での実施を目標にしています。すでに福岡、岡山、札幌、宮城、愛知などで行い、12月には埼玉で開催予定です。
――いろいろな地域へ足を運ばれているのですね。まずは知事への表敬訪問について、詳しく聞かせてください。どのような目的からこうした活動をされているのでしょうか。
ワニーサ 金融リテラシーを高める機会や、安定的な資産形成に取り組む機会は、地域の差なく提供されることが重要だと考えています。日本で「金融経済教育を受けた」と認識している人は、2024年時点で7%であり、2028年度にはその割合を米国並みの20%に引き上げるという政府目標がありますが、これを達成するには全国各地で取り組みを進める必要があります。そのために知事を訪問し、金融経済教育推進に向けた連携強化のお願いに上がっています。
今年4月に東京都の小池百合子都知事にお会いして以降、これまで24(11月末時点)の都道府県を訪問しており、さらに10件程度を今年度中にお伺いする予定です。
藤岡 今後、都道府県とどのような連携ができるかについては、さまざまなレベルでお話をさせていただいていますが、その1つとして、昨年、金融庁が設立した認可法人 金融経済教育推進機構(J-FLEC)の活用が考えられます。J-FLECは、全国に中立的な講師を無料で派遣する事業を行っております。ぜひ、各地の学校や職場などでJ-FLECの講師派遣をご活用いただければと思います。
金融庁としては、あくまでそういった学びの場の提供の先に、安定的な資産形成を応援するものとしてNISA制度をご用意しています。
――実際に知事を訪問した印象はいかがですか?
ワニーサ お会いした知事の方々は、皆さん金融リテラシーを高める重要性についてのご理解があり、とても心強く感じています。特に、「お金に関する判断力を高めることが、投資詐欺や金融トラブルから身・財産を守るために大事」とおっしゃる方が多く、我々としてもまったく同じ気持ちです。


