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成長株からバリュー株まで!PEGレシオで見抜く投資の妙味

提供元:SBI証券

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PERだけでは足りない?

株式投資でよく使われる指標のひとつが PER(株価収益率)です。ほとんどの株価情報サイトや投資入門書に必ず登場しているので、皆様も毎日のように目にしていると思います。

PERの計算式

PER=株価÷1株当たり利益(EPS)

PERはシンプルで便利な指標ですが、それだけでは判断に迷う場面があります。たとえば、PER10倍とPER11倍の銘柄、どちらを選ぶべきでしょうか?さらに、PER40倍でも 40%の増益が見込まれる成長株 と、PER15倍で微増益のバリュー株ならどうでしょう? PERだけならPER15倍の銘柄が「割安」ですが、直感的にはPERが高くても大幅な増益が見込まれる成長株の方が株価上昇の期待が高そうです。

ここで登場するのが PEGレシオ(Price Earnings Growth Ratio)。過去または予想される将来の利益成長率を考慮し、PERに成長性を加味した指標です。

PEGレシオの計算方法

PEGレシオ=予想PER÷EPS成長率※

※EPS成長率は%を外して数値化します(例:5%成長 → 5)。

PEGレシオによる判断の目安

0~1倍:お買い得
1~2倍:投資妙味あり
2倍超:割高の可能性大
NA:赤字企業や減益続きは対象外

なお、EPS成長率は過去1年だけでは短すぎるので、従来は過去5年間の平均成長率を使う場合が多かったと思います。しかし、最近はコロナ禍などで利益が大きく変動しているため、過去3年の平均値を使う方が現実的です。特別利益や特別損失等でEPSが歪む場合は、営業利益の成長率で代用することもできます。

PEGレシオの活用ポイント

証券会社や情報サイトのスクリーニング機能にPEGレシオがある場合もありますが、計算ロジックはまちまちです。予想PERを使っているか、EPS成長率は何年分かを確認しましょう。

おすすめは、予想PERや時価総額、配当利回りで一次スクリーニング して銘柄を絞ってから、3年分(過去2年+予想)のEPS成長率を計算 → PEGレシオを自分で算出。これで銘柄選択の精度が上がると思います。

PEGレシオで銘柄比較

例として、4銘柄を比較します(図表1)。

PERだけなら
Bサービス < A建設 < D小売 < C工業
の順で割安→割高となります。

しかし、EPS成長率で見ると
Bサービス > C工業 > D小売 > A建設
となり、3銘柄の評価が逆転します。

さらに、C工業のPER47.2倍も、EPSが43.6%成長すれば
• 1年後:32.8倍
• 2年後:22.8倍
• 3年後:15.9倍
まで低下します。高成長株は「今は高PERでも将来は割安化」する可能性があるのです。

一方、PEGレシオで見ると
• Bサービス:0.1 → お買い得
• C工業:1.1 → 投資妙味あり
• A建設:2.3、D小売:3.2 → 割高の可能性大
となり、PERだけでは見えない「成長性」をPEGレシオはしっかり反映していることが分かります。

PEGレシオをイメージで理解する

図表2では、PERを縦軸、EPS成長率を横軸に取り、PEG1倍を青点線で示しています。これより下にあれば割安の可能性が高いですが、特別利益でEPSが一時的に歪んでいないか注意が必要です。PEG2倍はオレンジ点線で、これより上だと「低成長で魅力が少ない株」または「割高株」と判断されます。

Bサービス株:PEG0.1 →(3)の 割安な成長株候補
C工業株:PEG1.1 → (1)の投資妙味あり
A建設株:(4)の低成長ゾーン → 見送り
D小売株:(5)の割高ゾーン → 見送り

まとめ

PEGレシオを使えば、バリュー株から成長株まで、EPSの成長実績を踏まえた投資判断が可能です。今後、日本の成長戦略が本格化するなら、PERやPBRだけでは見えない「成長性」を評価するPEGレシオの重要性がさらに高まるでしょう。

(提供元:SBI証券)

著者/ライター
土居 雅紹
SBI証券 執行役員(投資情報部管掌)
大和證券での株式アナリスト(ゲーム、メディア業界)、大蔵省財政金融研究所勤務、金利デリバティブ営業に従事した後、ゴールドマン・サックス証券にて個人向け証券化デリバティブ事業を立ち上げる。ヘッジファンド系デリバティブハウスCOO、楽天証券常務執行役員(株式・デリバティブ事業本部長)を経て2025年9月より現職。米ノースカロライナ大学MBA

主な著書:『最強の「先読み」投資メソッド』(ビジネス社)、『勝ち抜け!サバイバル投資術』(実業之日本社)

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