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経営者の声が大きな転機に

「未来の日本経済を担うスタートアップを一社でも増やす」 東証がグロース市場改革に着手した理由と狙い

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カギとなるのは「高い成長を目指す」文化の醸成

先述のとおり、グロース市場は本来、高い成長を期待された企業が集う市場である。しかし現状のデータを見ると、上場後に大きく成長する企業がなかなか増えていない状況だったといえる。

その背景には何があるのか、根底の原因はどのようなものか。これらを明らかにするため、東証ではスタートアップ経営者や機関投資家へのヒアリングを実施したという。資金調達や人材採用など、さまざまな観点から問題意識が挙げられる中、特徴的だったのは、経営者自身の意識に関する意見も多く見られたことだった。

――先輩たちが全員IPOを行っているので、何となく上場した方がいいのではないかと考える経営者も多い。とりあえずIPOを行うことが目的で、上場後のことは考えていない。――

――上場企業として行き詰っていても、経営者個人としてはそれなりの暮らしができる。その会社を経営し続けることが人生の目的となっているので、株価を伸ばそうと積極的な対応を行うことはないし、会社を売って他のことをしようともならない。――

いずれも、スタートアップ経営者が自身の周囲を見て感じた忌憚のない意見だ。東証では、これらの正直な声をあえて加工せず、そのままの形で公表したという。

もちろん経営者全員に当てはまるわけではない。一方で、どこか腑に落ちる部分もあったのだろう。2024年12月にこれらの意見が公表されると、スタートアップ関係者の中で話題になったという。

「このヒアリングで感じたのは、経営者の皆様に、グロース市場で高い成長に向けて前向きに取り組んでいただくためにはどうすればいいのかということでした。制度や仕組みを変えればよいという単純な話ではなく、このグロース市場において『高い成長を目指す』という文化をいかに醸成できるかがカギになると思いました」

そして、これらの意見は、「このままではいけない」という空気を生み、高い成長を目指していこうという前向きな動きにつながることとなる。それが1つの弾みとなって、2025年のグロース市場改革へと至ったのだ。

著者/ライター
有井 太郎
ビジネストレンドや経済・金融系の記事を中心に、さまざまな媒体に寄稿している。企業のオウンドメディアやブランディング記事も多い。読者の抱える疑問に手が届く、地に足のついた記事を目指す。
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