「5年100億円」は通過点
グロース市場を「高い成長を目指す企業が集う市場」とするために
企業の前向きな取組みをサポート
上場企業においては、これらの期待を踏まえて成長戦略を見直し、高い成長の実現を目指して積極的に取り組もうとする動きが見られている。そうした中、東証としては、企業の前向きな取組みをサポートするための施策も進めていくという。
これが3つ目の施策「積極的に取り組む企業のサポート」である。たとえば2025年12月末には、投資家が評価しているグロース上場企業の取組み事例(※)の提供を行っている。先述の「グロース上場企業に対する投資家の期待」の各ポイントに沿って、期待に応えた取組みを行っていると投資家が評価している事例がまとめられている。
※事例URL(https://www.jpx.co.jp/news/1020/t13vrt000000dkd4-att/t13vrt000000dkg3.pdf)
また、2026年年明けには、アップデートした成長戦略を投資家にアピールしたい企業をサポートするべく、「高い成長を目指した経営の働きかけ」を踏まえた対応を進めている上場企業を、東証ウェブサイト上の特設ページで一覧化する予定だという。
加えて、グロース上場企業向けのセミナーも順次開催されている。「グロース上場企業からは、機関投資家はどのような方針で運用するのか、何をすれば機関投資家に興味を持ってもらえるのかわからないという声をよく伺います。上場企業の皆様に、機関投資家の目線を知っていただくため、上場企業と機関投資家の対話イベントも開催しています。」と礒貝さんは語る。
「その他、しっかりと高い成長を実現している企業が指数に組み込まれるようにしていくことも考えています。指数に組み入れられた銘柄は市場の資金が集まりやすくなり、株価が上昇し、資金調達もしやすくなります。」
日本の代表的な株価指数のひとつであるTOPIXは、現在、見直しが行われており、2026年10月からグロース市場銘柄の採用も行われる見込みである。また、2026 年3 月からは新興企業の成長性に着目した新指数「JPX スタートアップ急成長100 指数」の算出も開始される予定であり、これらは「グロース上場企業が成長を目指すうえでのメリットにもなる」と話す。
上場後の高い成長につながるIPOに向けて
東証では、グロース上場企業の高い成長の実現を促すべく、以上の施策が進められている。一方で、「上場後」に高い成長を実現していくためには、「上場前」もまた重要であるという。
「言うまでもなく、IPOは成長のための手段です。上場前の段階から、上場市場の投資者がどのようなことを期待しているのかを理解したうえで、IPOを活用してどのように高い成長を実現していくのかをしっかりと考えておくことが重要です。このような、上場企業になるにあたっての期待や責務については、証券会社、監査法人、ベンチャーキャピタルなどの関係者とともに情報発信していきたいと思います。業界一体となって、上場後の高い成長につながる良いIPOを生み出していければと考えています。」



