「5年100億円」は通過点
グロース市場を「高い成長を目指す企業が集う市場」とするために
さまざまな関係者の声を聞きながら「一緒に改革を進めていく」
今回のグロース市場改革は、上場会社や投資家など、「さまざまな方の意見を聞きながら進めています」と礒貝さんは説明する。
「日本で大きく成長するスタートアップをいかにして生み育てていくかという議論は、数十年にわたる難題であり、制度や仕組みを少し変えれば解決するような簡単な話ではありません。関係者へのヒアリングの際に感じたとおり、重要なのは、このグロース市場において『高い成長を目指す』という文化を根付かせていくことであり、それには企業、投資家、市場関係者などが一体となって前向きに取り組んでいくことが大切です。そのため、関係者の皆様の声を伺いながら、一緒に改革していく姿勢を意識してきました」
グロース市場改革はまだ道半ばであり、これからもさまざまな人たちと一体で進めていく。
「改めてこの取組みの大きな目的は、未来の日本経済をけん引するようなスタートアップをグロース市場から生み出していくことです。政府の「スタートアップ育成5か年計画」の冒頭にも書かれているとおり、今では世界で活躍する大企業も、最初はスタートアップでした。そのような企業を今後も輩出していくために、私たちは『高い成長を目指す企業が集まる市場』として、グロース市場を発展させていきたいと考えています」
なお、現在は、グロース市場で一定の成長を見せたら「プライム市場に移行する」という企業も多いが、決してその路線がすべてではない。仮に十分な成長を実現した企業でも、さらなる高みを目指すためにこの市場に居続けるという選択肢もあり得る。
「プライム・スタンダード・グロースの市場は並列関係にあり、それぞれに個性があります。自社の成長のためには『プライムよりグロースが適している』と考えれば、そこでさらなる発展を目指すのもひとつの戦略です。グロース市場が『成長を加速できる場』として活用いただけるよう、東証としても引き続き取組みを進めていきます」
高い成長を目指す企業が集まり、次代を担う一社を輩出していくーー。グロース市場改革が見据えるのはこうした未来であり、今般の一連の見直しは、そのための重要なステップといえる。東証では、目指すべきグロース市場の構築に向けて、今後もさまざまな施策を打ち出していく。
(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)
※記事の内容は2025年12月現在の情報です
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