元ゴールドマン・サックスの投資家・田中渓さんに聞く「金融リテラシーの重要性」後編

堅実な資産運用を行うためのキーワード「ファンダメンタル」「分散投資」

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自動的に「分散投資」ができる投資信託やETFの活用も◎

株式や債券への投資に関しては、個別の銘柄にこだわらず、投資信託やETFを活用するのもいいとのこと。投資信託やETFは、運用のプロが複数の株式や債券に分散投資を行い、その成果が分配される金融商品だ。

「金融の基礎的な概念のひとつに『分散投資』があります。『卵をひとつのカゴに盛るな』という格言があるように、資金をひとつの銘柄に集中させると、その銘柄が暴落した際に損失が大きくなってしまいます。複数の銘柄に分散させることでリスクを抑えられるため、自動的に分散投資ができる投資信託やETFは効率的だといえます」

投資初心者であれば、まずはインデックス型の投資信託やETFがおすすめとのこと。インデックス型とは、「日経平均株価」「TOPIX」などの特定の指数と同じ値動きになるように設計された金融商品を指す。

「インデックス型を選ぶときのポイントは、手数料にあります。特定の指数に連動するインデックス型は、運用会社が変わっても中身はほとんど変わらないため、手数料(信託報酬)によって最終的な成果が大きく変わるのです。商品によっては手数料が1~2%に設定されているものがありますが、インデックス型のパフォーマンスは平均5~6%ほど。そのうちの1~2%を手数料で持っていかれると考えると、利益が大きく減ることがイメージできますよね」

投資信託には信託報酬のほかにも購入時に発生する販売手数料があるが、一般的にネット証券だと手数料が抑えられる傾向にある。店舗型の証券会社だと、窓口の担当者の人件費が発生するため、どうしても販売手数料が上がりやすくなってしまうのだ。

「いまは、インターネット上ですぐに証券口座を開設できる時代です。書籍2~3冊、良質な記事や動画10本くらい見て勉強したら、手数料の低い投資信託やETFを探して投資を始める。将来のための備えと考えたら、そこまでハードルが高くないと思うので、チャレンジしてほしいと思います」

お話を伺った方
田中 渓
元ゴールドマン・サックス投資部門日本共同統括で、現在は数千億円を運用する投資会社の不動産投資責任者。上智大学理工学部物理学科在学中に学科首席として表彰を受け、米国ロサンゼルスで毎年開催されるビジネスセミナー「CVS Leadership Institute」に参加。2007年にゴールドマン・サックス証券に新卒入社し、2024年に同社を退社。在籍17年間で20カ国以上の300人を超える資産家と出会い、富裕層の哲学や考え方、習慣を学んだ。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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