自社設備を持たず、外部の力を使う会社が伸びる
うどん屋経営の学びをもとに「ファブレスメーカー」に投資、お笑い芸人・オモロー山下さんの個別株選び
決算に対して「予測」や「期待」はしない
――そのほかに、個別株投資を行う上でのスタイルはありますか?
山下 最近やっているのは「決算前売却」ですね。簡単にいえば決算をまたがない、「決算直前に保有している銘柄を売却する」ということです。以前は決算またぎをしていましたし、「この企業は次の決算でいい内容になるのでは」と予測して、決算前に株を仕込むこともありました。「決算ガチャ」と言われるようなこともよくやりました。
だけど、決算に対する市場の反応って本当に予測できないんですよね。増収増益だったとしても、株価が上がるとは限らない。増益の内容が投資家の期待を少しでも下回っていれば、暴落することもありますから。逆に業績が悪くても、将来性を買われて決算後に上昇したりする。そもそも、赤字企業でも未来への期待によって値上がりするのが株価ですから。
アメリカにパランティア・テクノロジーズという企業があります。ここ1年ほどで株価は大きく上昇し、PER(株価収益率)は数百倍という水準になっています。これは、業績に対して市場の期待(=株価)が膨れ上がっていることを示しています。
こういう企業の場合、決算に対する市場の評価は本当に読めません。とにかく期待が大きくなっているので、出てきた決算内容を見て、少しでもその期待を下回れば一気に株価が下がることもあり得ますから。
そのほかにも、次の決算への期待で株価が上がり続けて、実際に決算で好業績が発表された途端に、「材料出尽くし」といって株価が下がることもあります。投資を始めた頃には意味がわかりませんでした。どういうことや……と(笑)。
――そこで「決算はまたがない」と。
山下 はい。基本的には決算後に株を購入して、次の決算が出る直前には売却します。したがって、売買のペースは四半期決算が出る3カ月おきになりますね。出てきた決算の内容を吟味して、次の3カ月間に保有する銘柄を決めています。決算前に売却した銘柄を、決算後にふたたび買い直すこともありますね。
好決算で値上がりした銘柄も、そこから3カ月間でさらに伸びることがあります。また、決算直後に値下がりした銘柄も、業績や企業の発表をよく見てみると、買いの材料が十分あることも少なくない。なので、今はこうしたスタイルでやっていますね。
インデックス投資は「期間が長ければ長いほどいい」
――お話を聞いていると、とにかく投資を楽しんでいる様子が伝わってきます。
山下 投資を始めて、いろいろな銘柄について調べるようになると、誰かにそれを話したくなるんですよ。でも、普段あまりそういう話はできないし、お金の話をするのは嫌がる人もいます。投資というだけで「怪しい話では?」と疑われてしまうこともある。だから今日みたいに、思う存分話せる時間は楽しいんです(笑)。
とはいえ、NISAが普及してそういう状況も変わりつつありますよね。投資は決して怪しいものではないと広まってきた気がします。プロ野球について「今年はあのチームが強い」「あの選手が伸びる」と自分の思いを話すように、投資談義を平和にできる日が来ると最高ですよね。
――これから投資を始める方に向けてメッセージはありますか。
山下 僕なんかの意見より、まずは自分で調べて投資を始めてほしいと思います。とはいえ、基本はインデックス投資から行うのがいいのではないでしょうか。私も個別株は大好きですが、あくまで資産運用のベースはインデックス投資だと思っています(前編記事参照)。
個人的には、貯金のような感覚で月々インデックスの積み立て投資を行うのがベストだと思います。それも長期の運用を大前提に、なるべくほったらかしにする。日々の運用成績は気にしない。毎月積み立てたら、あとはインデックス投資のことを忘れるくらいでいいと思います。
今になって後悔するのは、どうしてもっと早く資産運用を始めなかったのかということ。インデックスの積み立て投資は、期間が長ければ長いほどいいですから。投資に興味を持った方には、そんな想いも伝えられたらうれしいです。
(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)
※記事の内容は2025年12月現在の情報です
1992年、吉本興業に所属。同年に世界のナベアツ(現・桂三度)とお笑いコンビ「ジャリズム」を結成。2011年に解散。オモロー山下に改名し、ピン芸人で活動。2017年に吉本興業を退社。その後はフリーでライター業、飲食店「山下本気うどん」のプロデュース業を行う。





