~「IPを持つ企業」と「IPを活かす企業」が海外市場で勝ち残る~

現役アナリストが紹介するコンテンツ業界の注目企業

提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント

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はじめに

近年、日本のコンテンツ産業に対する関心が高まっています。2024年6月に政府が発表した「新たなクールジャパン戦略」においては、コンテンツ産業を基幹産業と位置づけるとともに、日本発コンテンツの海外市場規模を2022年の4.7兆円から2033年までに20兆円へ拡大することが目標として設定されました。2025年6月には、この目標の達成に向けた5ヵ年のアクションプランが経済産業省から公表され、日本発コンテンツの海外市場拡大を実効性のある形で推進する方針が示されています。

このようにコンテンツ産業の海外での拡大が期待される中で、近年では知的財産(Intellectual Property:IP。コンテンツ産業においてはキャラクター等に関する知的財産のことを指す)を活用して収益を生み出すIPビジネスの注目度が高まりつつあります。有力IPを保有する多くの日本企業が存在しますが、その1社に株式会社サンリオ(以下、サンリオ)があります。

IPを持つ企業(1):サンリオ|豊富なキャラクターIPを活かして過去最高益を更新

サンリオは「ハローキティ」「クロミ」「シナモロール」「ポチャッコ」「ポムポムプリン」など450以上のキャラクターIPを有しています。サンリオはこれらのキャラクターを活かした物販ビジネス・ライセンスビジネスを展開し、2025年3月期には50周年を迎えた「ハローキティ」の関連施策が奏功したこともあり過去最高益を更新しました。また、海外で稼ぐ利益は全社利益の80%超を占めています(2025年3月期のサンリオ独自指標である貢献利益の米州・欧州・アジアの数値をもとに算出)。

このような中で、サンリオは2025年5月に中長期戦略をアップデートし、“サンリオ時間”を増やすことを独自の主要KPIとして掲げました。この“サンリオ時間”を増やすために、保有するIPポートフォリオを活かし、ゲーム、アニメーション、SNS & Youtube、映画などを通じた接点を国内外で拡充することが施策の1つとして掲げられており、更なるIPポートフォリオの価値向上が期待されます。

IPを持つ企業(2):カバー|VtuberのIPポートフォリオを強みに海外で高い認知度を獲得

また、新たなIPの形として生まれたVtuberも、今後の海外市場を開拓するIPの1つとして挙げられます。Vtuberは、生身のクリエイターが2Dまたは3Dのバーチャルアバターを介して、配信プラットフォームなどのオンライン空間やライブ会場といったオフライン空間においてパフォーマンスを行うタレントになります。ビジネスとして、動画配信も1つの収益源ではありますが、これ以上にVtuber IPを活用したグッズ販売やライセンスビジネスが大きな収益源となっています。

Vtuberビジネスを展開する1社のカバー株式会社(以下、カバー)は、特徴としてIPポートフォリオとして国内タレントだけでなく海外タレントが在籍していることや、IPポートフォリオを活用したビジネスにおいても海外展開が進んでいることが挙げられます。

2025年8月にニューヨークの「Radio City Music Hall」にて2日間のライブイベントを開催し、両日合わせて1万人を超える過去最多となる現地動員を記録しました。また、2024年に国内で発売開始された「hololive OFFICIAL CARD GAME」はカードゲーム市場において一定規模のプレイヤー層及び支持を獲得できており、「Media Create TCG Award」において「Media Create New TCG Award」(2024年度において最も販売数の多かった新規トレーディングカードゲームシリーズが受賞する賞)を受賞しました。2025年7月には「hololive OFFICIAL CARD GAME」の英語版が販売開始となり、今後は海外での販売拡大が期待されます。

IPを活かす企業:ラウンドワンとGENDA

日本には先述した2社以外にも多くの有力なIPを保有する企業が存在しており、今後はIP価値最大化のためにどのような戦略を実行していくかが重要となります。この戦略として自前で消費者との接点を拡大することも1つですが、最近では株式会社ラウンドワン(以下、ラウンドワン)や株式会社GENDA(以下、GENDA)といった企業が現地で展開しているアミューズメント施設を“プラットフォーム”として活用しIP価値を高める動きが活発になっています。

ラウンドワンは先述したカバーとのコラボを2024年10月から3ヶ月間にわたって日米同時で開催し、同期間の米国での既存店売上月次は好調な実績となりました。足元では「ダンダダン」とのコラボや歌手のAdoとのコラボを行っており、来年に向けても有力IPとのコラボが期待されます。

GENDAは2019年から米国へ進出し、コロナ以降にミニロケ事業(主に30台以下のゲーム機を設置するゲームコーナー)に着手。M&A等での成長を通じて現在は13,000拠点を有する規模になっています。このプラットフォームを活かすべく、直近では2025年12月より「僕のヒーローアカデミア」のクレーンゲーム景品を北米拠点に展開することが発表されました。また、タカラトミーアーツとのガチャマシンの北米展開や、海外進出における協業等を企図したブシロードとの業務提携など、GENDAのプラットフォーム力を活かす協業が進んでおり、今後の展開に注目です。

今後は「IPを持つ企業」と「IPを活かす企業」それぞれが競争優位性を高めながら、オールジャパンのような形で双方の企業が共創することで、政府が掲げるようなコンテンツ産業の海外成長が実現できると考えています。

※上記は特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません。

(提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント)

著者/ライター
奥下 諒
現在、三井住友トラスト・アセットマネジメントにてセクターアナリストとして食品・IPコンテンツ・外食セクターを担当。2016年に三井住友信託銀行へ入社後、法人事業やエンゲージメントファンドへの出向を経験し、2020年より現職。

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