「50歳で3億円」を達成した兼業投資家の投資ルール・後編
経験者が語る株式投資にもっとも大事なことは「とにかく始める」
早いうちに経験した「損」が投資の指標になる
具体的な手法を教えてもらったが、とりでさんがまず初心者に勧めたいことは「株式投資をすること」だという。
「まずは投資を始めてみること。そして、早いうちに損をすることが大事だと思います。日本人の多くは資産が減る経験をしたことがほとんどないので、少額でも損が出るとパニックになると思います。その経験をすることで、資産が減る感覚を身に付けるとともに、損をしたときの感情を知ることができます。含み損でもイヤな人がいれば、含み損は耐えられるけど損切りがイヤな人がいたり、儲け損なうことがイヤな人もいます。その感情がわかると、自分に向いている手法が見えてくるんです。含み損に耐えられるならバリュー投資ができますが、含み損がイヤならグロース投資のほうが向いているといえるでしょう」
投資を始めるとなると「まずは勉強して、準備万端にしてから」と考える人は多いが、その前に始めるべきとのこと。
「『いまは相場が過熱してるから、暴落してから始める』とおっしゃる方がいますが、過熱しているときこそ参入してほしいです。そうすることで、早く損する経験を積めるから。暴落直後に始めて最初から順調に進められてしまうと、資産が増えたところで暴落などが起きてパニックになり、損した状態ですべてを売却してしまうというもっとも避けたいパターンになりやすいんです。始めたてであれば資産も少ないので、損をしても耐えやすいでしょう」
ここで大事なのが、損をしたときやパニックになって売却してしまったときなどに、自分が起こしたアクションを振り返ること。
「ただ落ち込んだり悔しがったりするのではなく、なぜそうしたのか、どんな情報を確認していれば売却せずに済んだのかということを振り返ることが大切です。『この情報を見ておけば、株価が回復する兆しを捉えられたかもしれない』ということがわかれば、同じような状況になったときに売らないという選択ができますよね。損や失敗は誰でもするので、次に活かすことが重要です」
長期投資のコツは「複数単元」「複数銘柄」を保有すること
実際に株式投資を始めてからも、意識してほしいことがあるそう。「複数単元・複数銘柄を保有すること」だ。
「僕が初めて投資したとき、ワタミの株式を1単元しか保有していなかったので、株価が上がって売却したいと思ったものの、売ってしまうと株主優待が得られないため売れなかったという経験がありました。複数単元を保有していれば、株価が上がって売却したいと思ったときに一部を売り、残りで株主優待を得るといった選択ができますし、複数単元保有することで資産も増えやすくなると思います」
「複数銘柄」は、いわゆる分散投資ということだ。ひとつの銘柄に集中させずに複数の銘柄を保有することで、リスクを抑えることができる。
「2003年4月にソニーが業績見通しの大幅な下方修正を発表し、株価が暴落してストップ安になった『ソニーショック』がありました。当時、僕もソニーの株式を保有していたのですが、アナリストも予想できなかった下方修正にショックを受け、仕事が手に付かなくなってしまったんです。『ソニーショック』のようなことってそれなりに起こるものなので、1銘柄に固執するのは危険だと学びましたね」
「複数銘柄」といっても、数十~数百銘柄も保有するわけではない。とりでさんは「10銘柄程度がちょうどいい」と話す。
「10銘柄ぐらいに分散させておくと、仮にそのうちの1銘柄の株価が50%下落したとしても、保有している株式全体で見ると10分の1、つまり5%しか下落していないことになります。複数銘柄を保有することでボラティリティ(価格変動)が下がるので、精神的な負担を感じにくく、投資を継続しやすくなります」
一方で、「これだけはしないほうがいい」ということはあるだろうか。
「SNSで話題になっている銘柄を買うのは避けましょう。その時点でその銘柄は注目を集めていて買い需要が高まっており、ブームが去ると売り需要が高まるといったように、業績とは別の理由で株価が変動するため、難易度が高いといえます。話題になっていない銘柄のほうが、フラットな状態で情報を読み解きやすいでしょう。また、SNSに書かれている『この銘柄は売ったほうがいい』といった情報を真に受けないことも大事。誰かが書いた情報を鵜呑みにすると、損をしたときにとても後悔するので、自分の目を信じて自分で判断しましょう」

