伸び悩む相場局面で役に立つ相場格言
提供元:SMBC日興証券
「風が吹けば桶屋が儲かる」
「歴史は繰り返さないが、韻(いん)を踏む」
有名なことわざに「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。これは、ある事象が起こると一見関係のないところにまで影響が及ぶことを例えた言葉です。近年では、論理的なつながりが薄い事柄を無理に結びつけ、結論を導き出すことを指す意味でも使われています。
年明け早々に、ベネズエラで米軍が作戦を展開し、マドゥロ大統領が拘束されるという事態が起きました。こうした予想外の出来事がマーケットに与える影響を考えるとき、この「風が吹けば桶屋」式の発想(後者の論理的なつながりが薄い事柄を無理に結びつける考え方ではなく、本来の考え方)が大事だと筆者は考えています。
ベネズエラは、マドゥロ政権の失政の影響もあって経済が破綻状態にあり、ハイパーインフレに苦しんできた歴史があります。多くの国民が国を捨てて、難民として他国で暮らしています。そのため、仮にベネズエラで大きな経済的な変動が起きても、世界経済および世界の金融市場全体に与える影響は軽微だと言えます。今回の一連の出来事があっても、世界の株式市場がほとんど気にせずに堅調に推移した背景には、こうした同国の経済情勢があるといえます。
ただ一方で、同国は世界最大の石油埋蔵量を誇り、その他の鉱物資源も豊富であることで知られています。今回、トランプ政権が軍事力を行使した背景にも、さらには中国がベネズエラとの関係強化を図ってきた背景にも、原油をはじめとする豊富な鉱物資源に対する野心があるとみられています。
そうした経緯を考えますと、ベネズエラ情勢が世界の金融市場に与える影響を考えるうえでは、鉱物資源の価格、とりわけ原油価格の動向がカギになるといえます。専門家によると、ベネズエラ産の原油は粘度が高く、硫黄含有量も多いため、製品として出荷するためには、豊富な開発資金と高い技術力が必要であるとのことです。
このことが同国が世界最大の原油埋蔵量を誇りながらも、世界最大の原油産出国には至っていない理由の1つだといえます。仮に、米国の大手石油メジャーが本格的に同国の石油ビジネスに進出し、石油製品を大量に生産できるようになると、世界の原油価格に少なからぬ影響が及ぶと考えます。そしてそれは、産油国にはマイナスの、石油輸入国にはプラスの影響を及ぼすことが想定されます。
筆者の持っている僅かな情報と、浅い知識では、この程度の頭の体操しかできませんが、予想外の事態が起きたときに冷静に情報を収集し、「風が吹けば桶屋」式の頭の体操をする価値は、意外に大きいと思っています。
加えて、過去の同様の出来事が起きた際のマーケットの反応を参考にすることも有用だと思います。
「歴史は繰り返さないが、韻(いん)を踏む」という言葉があります。米軍がベネズエラで軍事作戦を展開して大統領を拘束する、という出来事は史上初めてだとしても、過去に米国が他国で軍事作戦を展開した事例は存在します。そのとき、マーケットはどのように反応し、中長期的にみて政治や経済にどのような影響を与えたか、ということが把握できれば、今後の動向を展望するうえでの良い判断材料になります。
「突発事件は売るな」「急いては事を仕損じる」など、多くのことわざや格言が残っているのは、先人が自分の失敗体験を後世に役立てて欲しいと願ったからです。地政学的なリスクの高まりが感じられる昨今だからこそ、冷静にマーケットと向き合っていきましょう。
皆さまの投資成果が向上することを祈念いたします。
(SMBC日興証券 Kazu)
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