貫いてきた「挑戦を支える会社」としての姿勢
月保険に宇宙旅行保険……統計的手法が通用しない「宇宙保険」を三井住友海上が50年以上提供できた背景
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そしてそれから50年以上、同社は宇宙保険を提供してきた。
そもそも宇宙保険とは、宇宙関連の活動で発生するさまざまなリスクを補償するものだ。ロケットの打上げ失敗や運用中の衛星の故障、それによる賠償責任などがリスクの例となる。
宇宙保険を組成する際は、それぞれの活動内容に合わせてオーダーメイドで設計していくのが基本だが、その中でも代表的な保険内容について、三井住友海上では以下の4つを挙げている。
1つ目は、打上げ前までの地上におけるロケットや人工衛星の損害を補償する「打上げ前保険」。2つ目は、打上げから宇宙空間に到達するまでの人工衛星の損害を補償する「打上げ保険」。3つ目は、宇宙空間に到達してからの人工衛星の損害を補償する「軌道上寿命保険」。そして4つ目は、ロケットの打上げ時や人工衛星等によって生じた第三者への損害賠償責任をカバーする「宇宙賠償責任保険」である。
「以前に比べて成功率は上がっているものの、ロケットの打上げは大きなリスクが伴うプロジェクトであり、第三者に損害を与えてしまう可能性もあります。こうしたことから、日本国内でロケットを打上げる際は、原則として宇宙賠償責任保険への加入等による損害賠償の担保措置が義務付けられています。また、宇宙業界では製品の不具合発生時等におけるメーカー保証がないケースが多く、ロケットに搭載する衛星の故障などのリスクを転嫁する重要な手段として宇宙保険が活用されてきました」
宇宙保険の設計や引受業務を行う三井住友海上 海上航空保険部 航空宇宙保険チームの野尻航平氏は、この商品が求められてきた背景をそう説明する。
かつての宇宙プロジェクトは官主導がほとんどだったが、近年は民間の参入が相次いでいる。宇宙ビジネスを行うプレイヤー自体が増えており、それに合わせて宇宙保険のニーズも拡大しているという。
どのような保険契約を結ぶかという点についても、近年は大きく変化しているようだ。宇宙関連の業務に長く携わり、現在は三井住友海上の宇宙開発チーム長を務める濱村康介氏は、その状況をこのように伝える。
「以前なら衛星を作る側と運用する側が分かれているケースが主流でしたが、近年は作るところから運用までを一貫で行うスタートアップが増えています。また人工衛星の用途や宇宙の活用方法も多様化しており、それに合わせて、宇宙保険も進化しています。さらには、人工衛星に対するサイバー攻撃などの増加が想定されており、今後はこうしたリスクに対応する保険もニーズが増す可能性があります」




