衆議院解散総選挙のシナリオ ~衆議院での与党過半数となれば政権は安定へ~
提供元:野村證券投資情報部
2月8日(日)投開票へ
高市首相が、高い政権支持率を背景に、衆議院の解散総選挙に踏み切ると表明しました。
1月23日(金)の通常国会召集時に衆議院解散、総選挙の日程は、1月27日(火)公示・2月8日(日)投開票となります。
総選挙となれば、選挙期間中は国会審議が事実上停止するため、2026年度当初予算が3月末までに成立しない可能性が高まります。2013年や2015年は、短期間の暫定予算を成立させて対処しました。両年とも、3月27日に暫定予算を閣議決定し、それぞれ3月29日、30日の前年度内に成立しています。仮に総選挙が行われて予算成立が遅れたとしても、選挙の結果、政権が安定し、予算の組み替えがなく、遅かれ早かれ予算成立の見通しが立つのであれば、予算編成における混乱は限定的でしょう。
総選挙の結果、高市政権の衆議院における政権基盤が安定するのであれば、積極的な財政政策への支持が得られたとされ、株価の支援材料になるとみられます。2026年度の政府予算には政権の当面の経済政策が反映されており、追加の経済対策や補正予算の必要性は低いことから、財政規律の悪化懸念が更に拡大する状況ではないでしょう。
参議院は自民党と日本維新の会の両党のみでは過半数には達しません。しかし、総選挙の結果、衆議院で与党が議席を増やして過半数を確保している状況では、野党が参議院を舞台に国会審議を停滞させた場合でも、国民の支持は得られないとみられます。
なお、参議院で仮に自民党と国民民主党の議席を合計すると125議席の過半数に達します。政党間の協議により、与党の枠組みに変化が生じるかどうかも注目されます。
一方、与党が総選挙で敗北し、政権の枠組みが不安定化した場合には、政治が一定の安定を取り戻すまで、株式市場のボラティリティー(変動率)は高まるとみられます。
衆議院の会派別議席数
参議院の会派別議席数
(注)会派別議席数は、衆議院が2025年11月28日、参議院が2026年1月8日時点。会派は代表的な政党名を記載しており、例えば衆議院の会派は自由民主党は自由民主党・無所属の会、立憲民主党は立憲民主党・無所属、国民民主党は国民民主党・無所属クラブ、参議院では、立憲民主党は立憲民主・社民・無所属、国民民主党は国民民主党・新緑風会となっている。会派の記載順は、連立政権の自由民主党と日本維新の会を除いて衆議院の議席順を基準に参議院を記載している。棒グラフは、見やすさを優先して横軸を制限している。
(出所)衆議院、参議院、各種報道資料、野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成
(小髙 貴久)
解散日から投票日までの株式相場は堅調傾向
過去の衆議院選挙と株式相場の動向をみると、解散日から投票日までの期間に株価が上昇する傾向がみられます。
下の図表で、解散日(A)から投票日(B)までの動向を検証すると、戦後東証再開以降、過去26回の衆議院選挙のうち、20回で日経平均株価は上昇しています。1990年以降に限れば、12回中10回で上昇しており、平均騰落率も+2.7%と、全期間の平均である+2.0%を上回っています。こうした動きの背景としては、新政権への期待感に加え、近年は経済対策の発表などと併せて選挙が行われることが多い点が挙げられます。
一方、選挙後の相場展開は、選挙結果次第で異なると言えそうです。 投票日(B)から投票1ヶ月後(C)までの動きを、1990年以降でみると、上昇が5回、下落が7回、平均騰落率は-0.6%となっています。
相場が投票日以降に一段高となった近年の例としては、政権交代が実現してアベノミクスへの期待が膨らんだ2012年が挙げられます。また、2017年は、当時の安倍内閣による長期安定政権への期待が評価されたと考えられます。
衆議院選挙と日経平均株価の動向(戦後東証再開以降)
(注1)投票日が休祭日の場合は、前営業日の株価を基準日に採用。
(注2)□印は衆参同日選挙。△印は投票日が5日違いで行われた衆参同時選挙。第34回は4年の任期満了に伴う実施。
(注3)騰落率の▲は、マイナス。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成
(丹羽 紘子)
<執筆者紹介>
野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
小髙 貴久
1999年野村総合研究所入社、2004年に野村證券転籍。日本の経済・財政・金融動向、内外資本フローなどの経済・為替に関する調査を経て、2009年より投資情報部で各国経済や為替、金利などをオール・ラウンドに調査。現在は日本株に軸足を置いた分析を行う。2013年よりNomura21Global編集長を務める。
野村證券投資情報部 ストラテジスト
丹羽 紘子
グローバル・マーケッツ部門、財務部門などを経て、2013年より投資情報部に在籍。テクニカル・アナリストとしてチャート分析に携わり、わかりやすい解説を心がけている。
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