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半導体がけん引する日経平均株価に死角はないのか

株高を支える半導体の実力検証

提供元:マネックス証券

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2026年も早くも1ヶ月が経過する中で、1月の日本株市場は高市早苗首相が衆議院の解散を決め、その期待感から日経平均株価は1ヶ月間で5.9%上昇し、1月末時点では53,322円となりました。また、本稿を執筆した2026年2月3日には54,720円をつけ史上最高値を更新しており、ボラティリティーの上昇はありながらも堅調な推移となっています。

足元の株高を分析すると、日経平均株価をけん引しているのは値がさ株とされる半導体関連銘柄が中心です。半導体セクターは昨年から続く「生成AI(人工知能)」に対する期待感から強さを背景に、昨年同様2026年も株式投資のメインテーマとなると考えられます。

一方で生成AI関連には過剰投資ではないかと指摘する向きもあり、一部にはバブルを懸念する声や急速な株高となっていることから、足元の局面では高値警戒感も意識されるでしょう。そこで本稿では、半導体を中心に先行きをファンダメンタルズの観点から確認してみます。

日本国内から確認すると、日本では経済産業省が公表する鉱工業生産指数が参考となります。鉱工業生産は国内の生産活動を把握することを目的とした経済指標で、今回は半導体メモリなどが含まれる「電子部品・デバイス」の生産・出荷・在庫状況を確認します。具体的には、その電子部品・デバイスの生産が拡大局面にあるのか/減少局面にあるのか、需要が旺盛で在庫が掃けているのか/ニーズが弱く在庫が積み増されているのかを確認します。

図表1は在庫循環図と呼ばれる、生産と在庫の増減を4象限で図示したものです。在庫循環図は、横軸に生産トレンド、縦軸に在庫トレンドをとり散布図にしており、反時計回りに推移する傾向があります。ここ数年は、在庫の削減(在庫の前年同月比がマイナス)が進む中で生産は一進一退となっていました(3・4を行き来)。足元では在庫が2ヶ月連続前年同月比プラスで推移しており、2ヶ月間ですが在庫の積み上がりが見られ、反時計回りに動く傾向から先行きでは象限1に移行する可能性が意識されます。

【図表1】電子部品・デバイスの在庫循環図

出所:経済産業省よりマネックス証券作成

実際にこれらの局面ごとの、日経平均株価の平均騰落率を集計したものが図表2です。生産拡大/在庫減少である4の局面では株価はポジティブであるのに対し、在庫が積み上がり生産抑制をする2の局面で株価は軟調に推移する傾向がうかがえます。

足元の在庫循環は1の局面での推移が見込まれますが、この局面でも過去の平均では月次で7%強のリターンが達成されています。4と比べれば劣後しますが、生産が前年同月比プラスで推移する局面ではファンダメンタルズの観点からも堅調な株価推移が期待できると言えるでしょう。

【図表2】在庫循環図のポジション毎の日経平均株価の平均月次リターン

※試算期間は1999年1月~2026年1月、データは月次サイクル

世界の半導体売上高やIC製造などのシェアが高い台湾における輸出受注の動向から、外部環境も併せて確認してみます。それぞれ、前年同月比の伸び率を図表3で示しました。

昨今の生成AIブームを裏付けるように、直近2年では上昇サイクルが確認できます。一方でヒストリカルなサイクルからは、足元の水準がピーク圏であり、先行きでの減速が懸念されるのではないでしょうか。直近10年でみれば、ピークからボトムのサイクルは概ね2年程と試算され、仮に最新データ(2025年12月)をピークとすれば2027年末にかけて、同指標は伸び悩んで推移する可能性が指摘できます。

しかし、上述の在庫循環図も4の局面での株価リターンが最も高く、1の局面では株価リターン4の局面と比較すれば劣りますが、プラスで推移する傾向からもわかるように、減速期であっても売上高や受注動向が前年比プラスであれば株価もポジティブな推移が見込めると考えられます。その点では、ピークをつけた後にマイナス成長に転換する局面を見通すことが重要でしょう。

直近の半導体企業の決算発表では、先行きも堅調な受注見通しが示されており、この点からも2026年は、ある程度はポジティブな株価リターンが期待できると考えています。一方でそれ以降の株価を考える際には、ここまで確認してきたファンダメンタルズ指標から、売上や受注がピークをつけたことが確認できないか、サイクルのポジションはどこに位置する局面なのかを把握することが投資への落とし込みにあたって重要です。

【図表3】世界半導体売上高と台湾製造業輸出受注の前年比推移

出所:米国半導体工業会、中華民国経済部よりマネックス証券作成

(提供元:マネックス証券)

著者/ライター
山口 慧太
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部
慶応義塾大学経済学部卒。2019年にマネックス証券に入社。2024年からアナリスト業務を担当。現在は日本の経済指標や国内市況の執筆、各種ウェブコンテンツ作成に従事。日本証券アナリスト協会検定会員。
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