企業が着目すべきは、生活者の“属性”ではなく“好き”になりつつある
博報堂の新プロジェクト「偏愛会議(TM)」が探る“推し活×マーケティング”の可能性
推し活のイメージや捉え方の変化は、コロナ禍の影響が大きいと考えられるそう。コロナ禍で変わったのは、情報の取り入れ方だ。
「コロナ禍以前はリアルを重視する社会が根強かったので、身近な人をはじめとする周囲の目を気にしてしまう状況にあったといえます。しかし、コロナ禍によりオンラインでのコミュニケーションが一般化したことで、周囲の目を気にせずに好きな情報だけを摂取しやすくなりました。この変化で、以前よりもラフに“好き”に触れたり発信したりできるようになったのだと考えられます。SNSの普及によって、友人知人が“推し”を紹介する投稿やトレンドなどがきっかけで“推し”ができたというケースも増えているように感じます」(十河さん)
「かつて“好き”に触れるには、DVDや漫画を買ったりコンサートに行ったりと、少なからずお金がかかりました。一方、現在はサブスクリプションサービスが普及し、YouTubeなどで無料で見られるコンテンツも充実化しています。ライトに好きでいられる環境が整ったという外的要因も関係していると思います」(瀧﨑さん)
また、スピード感が速く、不安定な時代だからこそ、心の拠り所となる“推し”が求められているとのこと。
「コロナ禍のような予想もしない事態になったり、驚くべきスピードでAIが発展したりと、未来が想像できない不安定な時代のなかで、『同じ時代に頑張っている“推し”がいるから、自分も頑張れる』という気持ちがモチベーションになるんですよね。好きなものを通じて、自分の活動をどんどん広げていきたいというニーズもあります。もはや推し活は単なる娯楽ではなく、“推し”を介して一生の友だちに出会ったり、行ったことのない場所に出掛けたりするなど、ライフイベントに関わる大きなものになっているといえます」(瀧﨑さん)
「現代は情報量がとにかく多いですが、SNSの進化によって“好き”を軸にした情報収集がしやすくなり、推し活も加速しているのかもしれません。また、“推し”が共通している人から別の界隈の情報を得る、という流れも当たり前になりつつあります。『美容好きな人はカフェ巡りも好きなことが多い』という話をよく伺うのですが、美容の話からカフェの話につながって情報が広がるのです。こういった事例も踏まえると、推し活をしている生活者の“好き”を押さえ、その人たちの情報の導線に入っていくことはマーケティングにおいて非常に重要になると考えられます」(十河さん)



