BtoB企業だからこそ、個人に会社や業界を知ってもらう工夫が大事
“総合力世界No.1”を目指す日本製鉄が「株式分割」に踏み切った背景
鉄鋼業界の魅力やチャレンジを知ってもらうための工夫
BtoB企業の日本製鉄だが、近年は俳優の川口春奈さんを起用したテレビCMを放映したり、YouTubeでQuizKnock(クイズノック)やVチューバ―とのコラボ動画を投稿したりするなど、情報発信を意欲的に行っている。これらの活動は同社の認知度向上に加え、個人株主増加に向けた取り組みのひとつでもある。
「我々はBtoB企業なので、まずは個人投資家を含む個人の方に当社のことを知ってもらうことがもっとも大切だと考えています。そして、当社に興味を持ってくださった個人投資家の方に株式を保有していただき、買い増ししながら株主であり続けていただくという3段階で関係を深めていけたらと考えています。その第一歩として、CMやYouTubeなどを通じて幅広い層に知っていただきたいという思いで活動しています」(三友さん)
興味を持ってくれた個人投資家に向けた施策として、経営概況に関するWEB説明会を年4~5回開催し、個人投資家に向けたIR情報を発信している。年々、参加者数が増えているそう。
さらに、株主となってくれた人には株主優待も用意。5000株以上保有している株主を対象にした工場見学会を、春と秋に開催している。
「これまでもさまざまな株主優待を実施してきたのですが、工場見学会がもっとも人気なので、今後拡充していく方向で考えています」(三友さん)
「鉄鋼の工場は音も熱もすごく、臨場感があり、重厚長大な物づくりが体感できるところを評価していただいているようです。来てくださった株主の方のほとんどに満足していただいています」(有村さん)
企業の魅力を感じてもらうため、スローガンとして打ち出しているのが“総合力世界No.1の鉄鋼メーカー”。
「国内には安定した収益基盤があり、その収益を維持・向上させつつ、海外に成長を求めていくフェーズにあると捉えています。USスチールをはじめとする海外事業を成長の柱に据え、“世界No.1”の実現を目指しています」(三友さん)
“世界No.1”を目指すにあたって、ひとつのキーワードとなっているのが「カーボンニュートラル」。
「カーボンニュートラルで鉄をつくる既存の技術はありません。技術開発を行い実装するまでにかかる費用は、当社だけでも4~5兆円を上回る規模と想定しています。投資家の方々が関心を持たれている技術開発の進捗や設備実装の際の投資回収について、ご理解をいただいたうえで投資していただけるよう、真摯に伝えていきたいと考えています」(三友さん)
「鉄鋼業界は、もっともCO2を排出している業界のひとつです。ただ、鉄は一度つくれば、環境負荷もコストも低い形で何度でも何にでもリサイクルできる素材です。カーボンニュートラルでの鉄の製造は技術が確立されていない未知のものですが、当社では九州製鉄所八幡地区などの高炉を、脱炭素につながる電炉に変えるプロジェクトが動き出しています。個人投資家の方々にも日本製鉄の新たなチャレンジに興味を持っていただき、株主の輪を広げていけたらうれしく思います」(有村さん)




