金銭感覚の成長が人としての成長にも繋がる。乙武洋匡が考える、子ども向けプリペイドカード「シャトルペイ」の本当の役割とは!?
乙武先生!金融教育、見にきてください シャトルペイ後編
必ずしも正解がない、金融教育の難しさ
乙武 ところで、お金について学ぶというのは本来、すごく難しいことですよね。浪費癖は絶対に良くないし、そうかといって単に貯金をするのが趣味みたいな子に育ってほしいのかと言われれば、そうでもないような気がしますし。
たとえば、月に1万円の収入があるとした場合、2万円使うような生活は絶対にアウトですけど、かといって1000円しか使わないことが必ずしも正解かというと、そうとは限らないわけです。
見原 まさにそこはいまも苦労しているところなんです。仮に貯金が趣味というお子さんがいたとして、それに対して肯定したり否定したりするのは良くないので、的外れにならない範囲の助言をしながら、いかに自分で考えてもらうかが大切だと思っています。
乙武 そうですよね。RPGゲームのように、“ガンガンいこうぜ”みたいなタイミングもあれば、堅実性を重視すべきタイミングもあるはずで、それもすべて個々の状況や考え方次第。絶対的な正解があるわけではないので、第三者が一概に押し付けるわけにもいきません。
見原 また、監視ツールのようになってしまっても良くないと思います。とくにお子さんの側からすれば、どこでいくら使ったのかすべて見張られるのは面白くないでしょうし、それで親子関係が険悪になるのは避けなければなりません。
乙武 なるほど、たしかにそうですね。ただ、別の見方をすれば、「シャトルペイ」がどうという以前に、それまでにどのような親子関係が構築されているのかが大きい気もします。ある程度、お互いの信頼関係と利害が一致していれば、やはり「シャトルペイ」はいろんな成長を促すツールになり得るはずですよ。
見原 ありがとうございます。そう言っていただけると、ホッとします(笑)。
「シャトルペイ」が親子間のコミュニケーションツールに
乙武 ところで、今回こうして「シャトルペイ」について知る中で、金融教育におけるキャッシュレスの是非というのは、気になったポイントのひとつなんです。我々の世代はどうしても、現金でこそ感じられるお金のありがたみのようなものがあるのではないかと思ってしまうので。
見原 それは僕も世代的に同感です。
乙武 子どもの頃からキャッシュレスで育ち、現金の手触りを知らないまま消費を行うことで、極端な話、お金とはいくらでも使えるものだという誤った感覚に陥ることはないでしょうか。
見原 お金に触れる最初の瞬間は、現金がいいと私も思います。たとえば100円玉を手にした時に、それが相応のお菓子と交換できる力を持つものだと実感するのは大切ですし、使ったら物理的にも手元から無くなることを肌身で感じる体験も必要でしょう。このあたりは現金ならではの強さですから。
乙武 そうですよね。最初のステップとして現金さえ経験しておけば、より安心してキャッシュレスの利便性を活用できるようになるはず。
見原 その意味で、現金との合わせ技というか、なだらかにキャッシュレスに移行するようなプロセスを意識すべきなのでしょうね。
乙武 だからこそ、「シャトルペイ」には金融教育ツールの側面とは別にもうひとつ、親子間のコミュニケーションツールとしての側面が重要だと思うんです。そういった現金の取り回しを通して学ばせることは、リアルな親子関係の中で行われるべきですし。
見原 興味深いのは、実際に「シャトルペイ」を使っているユーザーの中に、お小遣いは渡していないけど、お仕事機能(報酬としてお金を支払う機能)は使っているという人もいることです。シンプルに言えば、家のお手伝いをしたり、良い習慣を守ったりした分だけお小遣いを入金するやり方ですね。ちゃんと明日の学校の準備を済ませてから寝る、とか。
乙武 面白いですね。そういった教育ツールとしての用途はまさに、親子間のコミュニケーションツールとして「シャトルペイ」が機能している証しですよ。



