プライベートクレジットに流動性懸念
提供元:野村證券投資情報部
AIによる代替懸念、ソフトウエア銘柄の株価下落
AIがソフトウエアなどの業務を手がける企業にとって脅威になるとの懸念が金融市場で高まっています。米AI新興企業のアンソロピックが法務、財務、マーケティング、データ分析などの業務を自動化するツールを開発し、2026年1月中旬から提供を開始しました。AIの普及により代替されるリスクが懸念されるSaaS(クラウド経由でソフトウエアをサービスとして提供する企業)などの株価が下落し、社債の価格も下落(利回りが上昇)しています。
プライベートクレジットファンドなどへ懸念拡大も
ソフトウエア企業への懸念は、これらに投資・融資する金融セクター(資産運用会社、BDC(未公開企業などへ投資・融資を行う投資会社)など)に波及しています。ソフトウエア企業への融資比率が高いオルタナティブ資産運用会社のブルー・アウル・キャピタルは、投資家からの解約請求の急増を受けて一部のプライベートクレジットファンドの解約請求を停止し、投資家へ段階的に返金を行う方針です。融資債権は流動性が相対的に低く、出資者の引き出しに伴う流動性リスクが顕在化しており、同社の株価下落など影響が及んでいます。
また、ソフトウエアなどのテクノロジーのみならず、ヘルスケア、消費関連、建設・不動産などのデフォルト率が上昇傾向にあるセクターにも懸念が拡大する可能性があります。今後は審査能力や保有資産の構成などで運用会社ごとのパフォーマンス格差が拡大し、運用成果や流動性管理が一層問われるとみられています。特定のファンドの問題であるため、金融システムリスクには至らないとの見方から市場の過剰反応を指摘する声が優勢ですが、今後の展開には注意が必要です。
ブルー・アウル・キャピタル、米国セクター別株価指数

米国ハイイールド債のスプレッド(上乗せ利回り)推移

(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
著者/ライター
坪川 一浩
野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
2018年より投資情報部に在籍。主に債券、クレジット、REIT、アジアを中心としたグローバルの経済・為替・株式に関する市場動向や投資環境を分析し、投資アイディアを提供。
2018年より投資情報部に在籍。主に債券、クレジット、REIT、アジアを中心としたグローバルの経済・為替・株式に関する市場動向や投資環境を分析し、投資アイディアを提供。
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