プロが語る!資産形成のすゝめ

乱高下する相場に惑わされない長期投資

先物トレーダーに学ぶ「止まらない上げ相場」との付き合い方

提供元:三井住友DSアセットマネジメント

TAGS.

究極的には「1勝9敗でも勝つ」

こうした「ルールベースのトレーディング」を試したことがある方々は既にお気づきかもしれませんが、BO&TF戦略をいざ実行に移すと、当初はどんどん「負け」が込んでいきます。これはBO&TF戦略の特徴で、ルールに従い日々の売買を繰り返していくと細かい損がどんどん積みあがっていきます。そして、時々訪れる大きな「トレンド」にしっかり乗りきり大きなリターンを出すことで「トータルでプラス」となるのが、典型的なBO&TF戦略の「勝ちパターン」となります。

極論すると、トレードの勝率は2勝8敗、もっと言えば1勝9敗でも、長期的にプラスを確保するのがBO&TF戦略の目指すところになります。一方で、デイトレのような短期売買を繰り返すトレーダーの中には、6勝4敗や7勝3敗といった比較的高い勝率にもかかわらず、トータルでの成績があまり芳しくない方もいらっしゃるのではないでしょうか。中には「ほとんどのトレードで買っている」にもかかわらず、トータルでは負けてしまう方もいるのではないでしょうか。そんな人が決まって言うのは、「あの取引がなければ」という嘆き節です。

勘のいい方はもうお気づきかもしれませんが、こうした勝率の高い「7勝3敗」のトレーダーたちは、BO&TF戦略のトレーディング・システムと真逆の動きをしているのです。つまり、小さな利益をたくさん積み上げていくのに、そうした利益を一気に吹き飛ばす「大きな失敗トレード」が投資成果を台無しにしているのです。

ここ数年の世界の金融市場や商品先物市場を振り返ると、金のスポット価格は間違いなく主役の一つとすることができそうです。金価格は2023年8月まで3年以上も1,600~2,100ドルのレンジでの推移が続き、何度も「騙し(抜けそうで抜けずに元のレンジに戻ること)」を繰り返していました。しかし、2024年3月に2,100ドルのレンジ上限を「ブレイクアウト」して力強い上昇トレンドが出現し、その後は押し目らしい押し目を作ることなく上昇を続け、2026年1月末には約2.7倍となる1トロイオンス当たり5,595.47ドルまで上昇しました(図表5)。

そして、BO&TF戦略を採用するCTAは、金価格が上昇を始める以前の約3年間にわたり、繰り返し「細かい損」を大量に出し続けるという「コスト」を支払うことで、強力な上昇トレンドが出現したことによる「破格の勝利」を勝ち取ったように思われます。

CTAと機関投資家の共通点

これまで機関投資家とは対極ともいえるCTAの代表的な取引手法(BO&TF戦略)について見てきましたが、意外にも両者には本質的な共通点があるようです。それは、両者の投資哲学ともいうべき部分で、(1)相場観や運用者の感情は投資判断から排除され、(2)あらかじめ決められたルールに従い粛々と投資判断がなされ、(3)徹底したリスク管理で守りを固めて相場に留まり続ける、ということです(図表6)。

まるで、異なるルートから同じ山の頂を目指す登山隊のように、機関投資家とCTAは異なるアプローチをとりながら、同じマーケットでリターンの獲得を目指して日々活動しているように思われます。そして、彼らの投資哲学から導かれる「乱高下する市場」や「止まらない上げ相場」と上手に付き合っていくポイントは、短期の値動きやニュースに惑わされることなく、長期的な視点で腹落ちする投資手法に忠実に、長期的な視点で投資を続けることなのではないでしょうか。

(まとめに)
昨年の夏場以降、日本株の上昇相場が続いています。激しい値動きと上昇ピッチの速さに戸惑う投資家も少なくないように思われますが、こうした「止まらない上げ相場」との付き合い方を考える時、CTAと呼ばれる投資ファンドの運用手法が参考になるかもしれません。

CTAは(1)データ重視(感情ゼロ)、(2)ルール厳守、(3)リスク一定の投資方針のもと、世界中の市場から力強いトレンドが出現している投資対象を見つけ出し、巧みなリスクコントロールで長期的にリターンを上げようとするファンドが多いようです。

CTAの運用は一見すると、動きの緩慢な機関投資家とは対極にあるように見えます。しかし、感情に流されず、厳格なルールに従い、守りを固めて長期間にわたり相場に留まり続けることでリターンの獲得を目指す運用哲学・投資スタンスは、機関投資家と思いのほか共通点が多いように思われます。

(提供元:三井住友DSアセットマネジメント)

著者/ライター
白木 久史
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフグローバルストラテジスト

都市銀行で資金為替ディーラー、信託銀行やロンドンの現地運用会社で株式アナリスト及びファンドマネージャー。2007年に大和住銀投信投資顧問(現三井住友DSアセットマネジメント)入社、日本株ファンドマネージャーとして中東産油国の政府系ファンドを担当。15年から米国現地法人社長、22年から現職。
内外株式、外債、デリバティブなど多様なマーケット経験をもとに、グローバルな視点から投資情報を発信します。
趣味:ゴルフ(HCP9)、車、赤ワイン、立ち食い蕎麦、昭和のプロレス
用語解説

"※必須" indicates required fields

設問1※必須
現在、株式等(投信、ETF、REIT等も含む)に投資経験はありますか?
設問2※必須
この記事は参考になりましたか?
記事のご感想や今後読みたい記事のご要望などをお寄せください。
(200文字以内)

This site is protected by reCAPTCHA and the GooglePrivacy Policy and Terms of Service apply.

注目キーワード