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愛する作品の土地に住む「聖地移住」が地域に与える影響

時間をかけて地域への愛着を形成することで成功する「移住」

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「聖地移住」の特徴:地域に根差した活動を行う人が多いこと

画像提供/千葉郁太郎
『ガールズ&パンツァー』の聖地として知られる茨城県大洗町の大洗磯前神社。

聖地移住は好きな作品の舞台に住むことだが、千葉さんがインタビューした聖地移住者のなかには、地域を盛り上げる活動に積極的に取り組んでいる人が多いという。

「『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』がきっかけで埼玉県秩父郡小鹿野町に移住した方は、当初地域おこし協力隊員として働き始め、任期の3年の間に地元商工関係者や農家の手伝いをしながら、現地での起業を構想したそうです。現在は、酒の街でもある秩父の特性を活かし、ジン蒸留所の立ち上げを目指しています。趣味のために移住するだけでなく、地域にプラスの影響を与える活動をされているという点でとても印象的な事例です」

秩父の事例以外にも、現地の農園に就職して地場産業の発展に貢献している人がいたり、地域のボランティア団体を立ち上げて活動している人がいたりと、各地の聖地移住者がさまざまな形で地域に根差している。「これこそが聖地移住の特徴」と、千葉さんは話す。

「一般的な地方移住と聖地移住を比べたときに、明確に違いが出るのが、移住に至るプロセスです。一般的な地方移住は『農業をやりたい』『自然が豊かなところに住みたい』といった目的が先にあり、その目的や条件とマッチする土地を探すケースが多いと思います。一方、聖地移住は数年間、長い人だと5年以上聖地に通い、その地域ならではの魅力を知ったり、“関係人口”と呼べるほどの交流をしたりしてから移住を決めるケースがほとんどです。そのため、地域のコミュニティに入って活動する方が多いのだと思います」

聖地移住者にインタビューすると、「この街とここに住んでいる人たちが好きになったから移住した」という話が必ずといっていいほど出てくるそう。

「地方移住で失敗する事例の多くは、その土地のことをよく知らなかったことが要因だと考えられます。地域の自治会ならではのルールやもともと住んでいる方々の特性、その土地の気候などの情報が不足していると、『住んでみたものの、思ったのと違った』となりやすいでしょう。その点、聖地移住者は何度もその地域を訪ねていて情報量が多いので、成功する確率が高いのではないかと感じています」

千葉さんは研究を始めた当初、「アニメ作品に対する興味を失うと、移住を後悔するケースもあるのではないか」と考えていたそう。しかし、実際は地域や住民を好きになって移住を決意する人が多いため、アニメ作品への熱量がなくなったからかつて住んでいた土地に戻るという事例は少ないという。

お話を伺った方
千葉 郁太郎
アニメ聖地巡礼・聖地移住研究者、公認会計士、京都文教大学非常勤講師(2026年4月より特任助教就任予定)。京都大学法学部卒業、同大学経営管理大学院修了。公認会計士として中小企業支援やベンチャー支援を行うかたわら、地域活性化とアニメ聖地巡礼を研究し、シンポジウム登壇やメディア出演、学術論文執筆、同人誌出版などを行う。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。

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