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愛する作品の土地に住む「聖地移住」が地域に与える影響

時間をかけて地域への愛着を形成することで成功する「移住」

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聖地移住者が地域コミュニティをつなぐ存在になる

画像提供/千葉郁太郎
アニメ『たまゆら』の舞台となった広島県竹原市は、アニメが終了して10年以上が経ったいまも聖地移住者が増えているそう。

聖地移住は移住・定住者を増やすカギになるだけでなく、地域のコミュニティを新たに生み出し、広げていくきっかけにもなるかもしれない。

「地方の課題である人口減少や高齢化は、地域のコミュニティを希薄にする要因になっています。若い世代が都市部に出ていき“地縁”や“血縁”が薄くなっているなかで、地方を再生するのは“趣味縁”ではないかと考えています。推し活や聖地巡礼をはじめとした趣味をきっかけにつながったコミュニティで、地域を元気にしていくということです」

その一歩として、聖地移住者はその土地を訪れる聖地巡礼者と地域を結び付ける存在になるという。

「自治体職員の方々も含めた地域の方々のなかには、アニメ作品そのものや聖地巡礼者の行動、求めているものなどがわからないという方がたくさんいます。一方で、その地域のマナーやルールを知らない聖地巡礼者もいます。その間に立ち、それぞれの立場から情報を伝えられる聖地移住者は、“趣味縁”を中心としたコミュニティをつくるうえで大切な役割を果たすと考えています」

実際に、移住先でファン団体を立ち上げたり、聖地巡礼者が交流できる場所を整備したりしている聖地移住者もいるという。

「聖地移住者の方から『東京で暮らしていた頃は、グッズが出たらすべて買うような生活で割と余裕がなかったけれど、移住してからはグッズ欲が落ち着き、身の丈に合った推し活ができている』という話を伺ったことがあり、印象に残っています。用意されたものを消費するだけでなく、自らコミュニティをつくったりイベントを企画したりといったクリエイティブな推し活ができるところも、聖地移住の魅力なのかなと思います」

聖地移住は「推し活に限らず、移住者自身のQOLを高める可能性もある」と、千葉さんは自身の経験も交えて話してくれた。

「私は大学卒業後に就職した会社の配属で京都を離れ、別の土地で勤務したのですが、会社にも土地にも馴染むことができなかったんです。住む場所を自分で決められる公認会計士になることを決めて、愛着があり魅力も感じていた京都に戻りました。その経験があるので、望まない場所で生活を送ることの辛さがわかります。そういう意味で、自分が好きな作品を感じ、好きな地域や人と一緒に暮らしていける聖地移住は、QOLを大きく高められるのではないかと思っています」

お話を伺った方
千葉 郁太郎
アニメ聖地巡礼・聖地移住研究者、公認会計士、京都文教大学非常勤講師(2026年4月より特任助教就任予定)。京都大学法学部卒業、同大学経営管理大学院修了。公認会計士として中小企業支援やベンチャー支援を行うかたわら、地域活性化とアニメ聖地巡礼を研究し、シンポジウム登壇やメディア出演、学術論文執筆、同人誌出版などを行う。
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。

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