厚生年金カットの基準が引き上げられ、高齢者が働きやすい環境に

2026年4月「在職老齢年金制度」改正によってもたらされる影響とは

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「在職老齢年金制度」改正はキャリアプランを見直すきっかけにも

いままさに60歳以上で働いている人に影響する話だが、間もなく定年を迎えるという人こそ、知っておくべき情報でもあるという。

「情報をアップデートしないまま、『働きすぎると厚生年金がカットされて損』と思っているのはもったいない。月65万円以下となれば、現役の頃と変わらずバリバリ働いてもカットされない人は多いでしょう。そうなると、『60歳以降も元気だけど、仕事をセーブしよう』と思うことがなくなり、『60歳以降はどうやって働こうかな』とポジティブに老後のキャリアを考えられるようになるはずです」

60歳以降もキャリアが続いていくことを前提とすると、40~50代の働き方やキャリアの歩み方も変わるだろう。

「40~50代になると『いまさら頑張っても遅いかな』と思う人が多いかもしれません。しかし、60~70代も働く可能性があると考えると、『まだまだできることがある』『いまから資格の勉強をしてみよう』と動き出すきっかけになるでしょう。私の周りでも、50代でリスキリングを始める人やキャリアアップのための転職活動をしている人が増えてきています。『在職老齢年金制度』の見直しによって、老後の働き方だけでなく現役の間のキャリアの積み方も変わってくるでしょう」

また、今回の見直しは、実際に働く労働者自身だけでなく、会社や社会全体にとってもプラスの効果が期待できるとのこと。

「労働者はより働きやすくなるので、家計のプラスになりますよね。会社は人手不足の課題を抱えているので、これまで社内で活躍してくれていた人材が60歳以降も変わらずに働いてくれるとなれば心強いですし、人材確保のコストも抑えられます。そして、60歳を超えていたとしても会社から給与をもらって働く人は社会保険料を納めることになり、健康保険や年金を支える存在にもなるため、社会にとってもいい影響を及ぼすといえます。実は、多くの人に影響のある話なのです」

年金支給額UPによる現役世代への影響は…?

「在職老齢年金制度」の見直しによって年金がカットされる人が減るということは、その分だけ社会全体の年金支給額が上がることになる。年金保険料を納めている現役世代の負担が増えることにならないだろうか。

「先述した通り、60歳を超えても会社員として給与を受け取る場合は、社会保険料を納めることになります。つまり、『在職老齢年金制度』の対象となる人は厚生年金を受け取るだけでなく、厚生年金保険料を支払ってもいるので、今回の改正だけを理由として現役世代の負担が増すということはあまり考えられないでしょう」

むしろ、これまでは会社員として働いて厚生年金保険料を支払っているにもかかわらず、「在職老齢年金制度」で厚生年金がカットされる人が多かった。そのため、当事者から「納めているのにカットされるのはなんで」という不満の声もあったそう。

「『高齢者の労働の阻害要因になっている』という理由から、『在職老齢年金制度』廃止を求める声も上がってきています。単純にカットされることの不満だけでなく、基準額を超えるほどバリバリ働いている高齢者の方が増えているのだと考えられます。実際に基準額は段階を踏んで引き上げられているので、廃止となる未来もあるかもしれません」

「在職老齢年金制度」の見直しは、高齢になっても働きやすい社会づくりに向けた一歩といえる。老後もいきいきと働き続けていくことを見越して、キャリアプランを考えていくことが重要になりそうだ。

(取材・文/有竹亮介)

お話を伺った方
川部 紀子
FP・社労士事務所川部商店代表、ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。日本生命保険相互会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・プランニングに携わる。2004年、30歳の時に起業。個人レクチャー・講演の受講者は3万人を超えた。著書に『得する会社員 損する会社員』『今すぐはじめられる NISAとiDeCo』がある。
著者サイト:http://kawabe.jimusho.jp/
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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