かぶオプコラム
【1年で学ぶ かぶオプ投資術】第2回:急落は突然やってくる ― 株式投資の“保険”という考え方
提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート
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【1年で学ぶ かぶオプ投資術】第1回:決算シーズンを賢く乗り切る投資手法 | 東証マネ部!
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株式市場の急落は、たいていこちらの準備が整っていないときにやってきます。今年2月末から3月にかけても、中東情勢の緊迫化をきっかけに、市場に不安が広がりました。こうした地政学的リスクは、いつ起こるのかを前もって正確に知ることができません。しかも、それが週末に起きると、相場が開くまで売買もできず、不安なまま月曜日を待つことになります。
「週明けの株価はどうなるのだろう」
「自分の保有株はどれくらい下がるのだろう」
「いったん売るべきか、それとも持ち続けるべきか」
こうした不安を抱えたまま、落ち着かない週末を過ごした方もいたのではないでしょうか。
株式投資のリスクには、決算発表や経済指標のように日程が分かっているものもあります。一方で、戦争、金融不安、自然災害のように、前触れなく起きるものもあります。投資を続けるうえで大切なのは、こうした突然の下げにどう備えるかです。
これは、私たちの日常生活における保険の考え方とよく似ています。事故や病気は、もちろん起きないに越したことはありません。それでも多くの人が保険に入るのは、「万が一」が起きたときの負担が大きいからです。保険料はかかりますが、その分、いざというときの出費や不安を軽くできます。
実は、株式投資にもこれとよく似た仕組みがあります。それが、「プット・オプションを使った保険」です。
プット・オプションをひとことで言うと、「株価が下がったときの備え」です。もう少し正確に言えば、「あらかじめ決めた価格で株を売ることができる権利」のことです。プットを買って満期日まで保有すれば、あらかじめ決めた価格で保有株を売ることができます。また、必ずしも満期まで持つ必要はありません。一般に、株価が下がるとプットの価格は上がりやすいため、買ったプットを途中で売って利益を出し、その分で保有株の損失をカバーする、という使い方もできます。
このように、株を持ちながらプット・オプションも買って、下落に備える方法を「プロテクティブ・プット」といいます。
ここで、実際の例で見てみましょう。
たとえば、2月末の時点で三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306、以下「MUFG」)の株を保有していたとします。2月27日(金)に2,968.5円で引けたMUFG株は、米国によるイランへの軍事行動の影響を受け、週明け3月2日(月)には終値2,820円と大幅に下落しました。下落がこの日だけでは収まりそうにないと感じ、同日に4月限行使価格2,800円のプットを165円で買っておいたとしましょう。
その後、MUFGの株価は翌週3月9日(月)に2,665円まで下落しました。3月2日の終値2,820円から見ると、155円の下落です。100株保有していれば、1週間での株式の評価損は、
(2,665円 − 2,820円)×100株 = −15,500円
となります。
一方、165円で買ったプットは、3月9日(月)に314円まで上昇していました。ここでプットを転売すれば、
(314円 − 165円)×100株 = 14,900円
の利益です。
つまり、株価の下落による損失15,500円の大部分を、プットの値上がり益14,900円によって補うことができた計算になります。これは、まさに保険が機能した例だと言えるでしょう。
もちろん、プットを買ったからといって、株価の下落そのものを止められるわけではありません。けれども、下落によるダメージを和らげることはできます。何より、「どこまで損が広がるのだろう」と不安に振り回されず、落ち着いて次の判断をしやすくなります。その後、MUFGの株価は4月半ばには、おおむね2月末の水準まで戻しています。もし3月の下落局面で怖くなって株を売ってしまっていたら、この戻りを取り逃していたかもしれません。プットを保険として使うことで、株を持ち続けながら、急落局面のダメージを和らげることができるのです。
急落局面では、投資家は極端な判断をしがちです。怖くなって慌てて安値で売ってしまう、あるいは、何もできずに「相場の下落が止まる」ことをただ祈る。どちらも、相場が荒れているときにはよくある反応です。しかし、プットを持っていれば、第三の選択肢が生まれます。株は持ち続けながら下落には備えておく。これが、プロテクティブ・プットの考え方です。
プットによる保険を考えたいのは、たとえば次のような場面です。
・地政学リスクが高まり、相場全体が不安定になっているとき
・重要イベントを控えているが、保有株は手放したくないとき
・含み益のある株を持っていて、その利益をある程度守りたいとき
・長期では保有したいが、短期的な急落が気になるとき
ここでのポイントは、プットを買うにはお金がかかるということです。プットは、いわば掛け捨ての保険のようなものですから、いつでも買えばよいというわけではありません。下落の心配をしてもいないのに常に保険をかけていれば、やがて長期的なリターンを削ってしまいます。必要な場面を見極めながら活用することが大切です。
プロテクティブ・プットを活用すれば、急落におびえる投資から、急落に備える投資へと一歩進むことができます。かぶオプを使って、安心して投資を続けるための「守りの選択肢」を、ぜひ身につけていきましょう。
かぶオプ入門(6)|プット買い戦略
https://www.jpx.co.jp/ose-toshijuku/movie/kabuop/kabuop_nyumon_2026_06.html
(提供元)株式会社シンプレクス・インスティテュート
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