日本:2025年度決算レビュー 生成AIと金利上昇にけん引される企業業績

提供元:野村證券投資情報部

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2025年度決算がほぼ出揃う

2025年度決算がほぼ出揃いました。ラッセル野村Large Capの経常増益率は前年度比+9.6%となった模様です。これにより、1970年度以降で過去最長タイとなる6期連続増益、また2021年度以降5期連続での最高益更新が見込まれます。

2025年度は、長引く中国経済の低迷や、トランプ政権による不透明な関税政策の影響などから我が国の企業業績に影響の大きい鉱工業生産は前年度比-0.2%とほぼ横ばいでした。また、(期中平均の)米ドル円レートは151円前後で、こちらも前年度比ほぼ変わらずでした。

こうしたなか、増益を確保できた背景としては、年度後半より生成AIに関連すると見られる需要が電機・精密だけでなく、機械や素材の一部企業にも恩恵をもたらしたほか、国内においては長期金利の上昇が金融セクターの業績を押し上げたことなどが指摘できるでしょう。

一方、2026年度については、アナリスト予想の積み上げでラッセル野村Large Capでは前年度比6.5%増益が予想されています。なお、期初時点で多くの投資家が注目する、新年度会社見通しは前年度比+3.1%とやはり増益が見込まれています。

通期業績要約

(注1)上表は2025・2026年度推定・予想経常増益率。
(注2)下図は、ラッセル野村Large Capの経常利益実額。2025年度以降は野村證券市場戦略リサーチ部による推定・予想。2025年度以前は、各年度の経常増益率(前年度比)実績をもとに遡及して計算しているため、当レポートに掲載している他の図表と数値が異なる場合がある。
(注3)推定、予想はいずれも2026年5月18日時点。
(出所)野村證券投資情報部作成

日銀短観3月調査を上回る会社見通し

例年、期初の会社見通しは、保守的との指摘が多いと同時に、会社側の考える下限値として多くの投資家が注目します。昨年度も、期初段階でトランプ政権による関税政策の影響が不透明な中で、会社見通しは前年度比-9.0%と減益見通しであったものの、一定の安心感を投資家にもたらしました。

2026年も、2月末の米国のイラン攻撃にともなう原油価格の高騰、供給不安がくすぶるなかで、2025年度見通しを上回る増益見通しとなったことを株式市場は好意的に受け止めたと見られます。

通期 会社見通し関連指標の推移

(注1)赤線は、ラッセル野村Large Cap(除く金融)の期初時点(各年5月末)での会社経常増減益率見通し。会社見通しが未発表/非公表の企業は、野村予想、あるいは東洋経済予想で補完している。直近値は2026年度(2026年5月18日時点)。
(注2)細い灰色線は各年の日銀短観3月調査・大企業・経常利益計画。直近値は2026年度。
(注3)太い灰色線は各年度の実績経常増益率。2025年度の数値は2026年5月18日時点での推定値。見やすさを優先して縦軸を制限している。
(出所)野村證券投資情報部作成

前提は150~155円/米ドルに集中

期初時点で多くの投資家が参考とする会社見通しは、これまで著しく先行きが不透明な場合には非開示とする企業が多数を占め、市場の不安を掻き立てる要因となっています。2025年度はトランプ政権による関税政策の影響が不透明であったにもかかわらず、期初の会社見通しを非開示とした企業はごく少数にとどまりました。26年も、中東情勢が著しく不透明な環境下にもかかわらず、非開示とした企業の構成比は25年度をさらに下回りました。

一方、会社側の米ドル円レート前提は、150円/米ドルが最多で、155円/米ドルが次ぐ構成比となっています。為替介入に対する警戒感が強いなかで、150円/米ドルを大きく割り込む円高の進行がない限り、企業業績見通し・予想への影響は限定的と考えられます。なお、155円/米ドル超の円安前提の企業が12%存在していますが、内訳は電力、紙パルプ、一部の小売など円安が業績に悪影響となる企業がほとんどで、むしろ保守的な前提を出しているとの解釈が適当と考えられます。

2026年度 会社側見通し発表状況と為替前提

(注1)左図は、各年度の期初に利益見通しを開示しなかった企業の割合。東証プライム市場上場企業のうち、3月決算企業を対象に集計している。
(注2)右図は、2026年5月18日時点の会社側の2026年度米ドル円レート前提。母集団は前提を公表している全上場企業。
(出所)QUICKなどより野村證券投資情報部作成

AIと金利上昇にけん引される業績

業種グループでは、2025年度業績はおもに投資先の企業の価値上昇の恩恵を受けた情報、金利上昇の追い風を受けた金融が全体業績を牽引しました。トランプ政権の関税政策により、関税の負担が大きかった機械・自動車は大きく減益となりました。一方、生成AIへの投資が急増したことからエレクトロニクスが増益寄与に転じています。

2026年度は、エレクトロニクスの増益寄与が加速する見通しとなっています。また、その影響は素材にも波及が見込まれています。金融も引き続き金利上昇の恩恵を享受すると見られます。なお情報は現時点では減益の予想となっていますが、投資先企業の価値の変動次第で利益の方向性は流動的になります。

2025~2026年度 業種グループ別経常増減益寄与額

(注)ラッセル野村Large Capの経常利益の、2025~2026年度・業種別経常増減益寄与額。2026年5月18日時点の実績値、および野村證券市場戦略リサーチ予想。年度ごとに集計銘柄集団は異なっている。
(出所)野村證券投資情報部作成

ご投資にあたっての注意点

著者/ライター
伊藤 高志
野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
用語解説

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