「行き過ぎもまた相場」「山高ければ谷深し」
伸び悩む相場局面で役に立つ相場格言
提供元:SMBC日興証券
実業家のイーロン・マスク氏が率いる宇宙企業「スペースX」が、現地時間の6月12日に米ナスダック市場に上場しました。新規株式公開(IPO)では750億ドル(約12兆円)を調達して2019年にIPOを行ったサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコを大きく上回り、過去最高を更新しています。また上場初日の終値は公募価格(135ドル)を約19%上回る160.95ドルとなり、時価総額は2兆1000億ドル(約336兆円)に達しました。
「スペースX」に巨額の投資資金が集まった背景には、(1)同社が手掛ける宇宙関連ビジネスの将来性に対する期待、(2)同社のビジネスが中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰の悪影響を受けにくいとみられること、(3)割高感が意識されるようになってきた人工知能(AI)関連銘柄とは異なるビジネスモデルを有していること、などがあると考えます。株式投資家は足元の現実よりも少し先の未来を見据えて投資を行います。現在は利益を生み出していない同社に巨額の投資資金が集まったことは、それだけ同社の将来性に期待を寄せる投資家が多かったとみることができます。
一部の銘柄やセクターに投資資金が集中して株価が大きく上昇するとき、巷では「バブル」という言葉が使われます。この「バブル」という言葉には厳密な定義がありませんので、その時々の状態が本当に「バブル」であるかを正確に把握することはできません。しかし、多くの場合は、実態(投資対象となる企業の価値)よりも株価が高い水準まで上昇するケースを指していることが多いように感じます。
今回の「スペースX」のように、直近決算が赤字の企業に対して過去最高額のIPO資金が集まる状況は、この考え方に照らせば、明らかに「バブル」ということになります。しかし、先ほども書いたように、多くの株式投資家が、足元の現実ではなく少し先の未来を見据えて投資をするならば、株価が実際の企業価値よりも高く評価されることは特別なことではなく、「バブル」という言葉を用いて必要以上に警戒すべきことでもないといえます。
長年、日本株への投資を行ってきた投資家は、1980年代後半のいわゆる「バブル」が崩壊し、1990年以降、日本株市場が低迷し続けた過去を知っています。「バブル」崩壊で痛い目にあった投資家が「バブル」を警戒し、恐れる気持ちは理解できます。しかし、株価が大きく上昇する局面をすべて「バブル」で片付けてしまうと、本質を見失う可能性があると筆者は考えます。
相場の格言に「行き過ぎもまた相場」という言葉があります。これは相場に勢いがつくと上にも下にも行き過ぎる傾向があることを理解したうえで、投資判断を下すべきであることを訓えた格言です。相場は行き過ぎることが常態であると理解していれば、株価が急騰(または急落)する場面でも冷静に投資判断を下す余地が生まれます。「山高ければ谷深し」という格言もあるように、今、投資資金を集めている銘柄がこの先、大きく値を下げる可能性も考えられます。相場が大きく動く局面では、ぜひ上述の格言を思い出してみてください。
皆さまの投資成果が向上することを祈念いたします。
(SMBC日興証券 Kazu)
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