ETFを支える新しい業務インフラ

ETFの裏側を支える開発現場から ~CredNex~

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みなさんがNISAなどを通じて買っているETF(上場投資信託)は、「株式のように売買できる投資信託」として親しまれています。でも、そのETFが日々生まれ、維持されていく裏側の仕組みについて、耳にする機会はあまりないかもしれません。

ETFは、資産運用会社、証券会社(指定参加者)、信託銀行、そして日本取引所グループ(JPX)など、多くのプレイヤーが毎日連携することで成り立っています。その裏方業務を支える新しいインフラの開発現場を、少しだけご紹介します。

ETFの“設定・交換”という見えない仕事

ETFを新しく市場に送り出したり、残高を調整したりするためには、「設定」と「交換(解約)」という業務が欠かせません。指定参加者が現物株のバスケットや現金を拠出してETFの受益権を新たに生み出すのが「設定」、その逆が「交換(解約)」です。この設定・交換が日々適切に行われることで、ETFの市場価格が基準価額から大きく離れないように保たれています。

この設定・交換の業務をデジタル化し、関係者がよりスムーズに連携できるようにする――そのために現在開発が進められているのが、新しい業務基盤「CredNex(クレドネックス)」です。2025年9月の初回稼働では一部の先行ユーザによる利用を開始し、2026年6月には本稼働を迎え、本格的に運用を開始しました。
稼働後の期間においても高頻度での機能リリースを行い、段階的にプロダクトを拡充しています。

開発拠点「ONEbase」という実験場

CredNexの開発を担っているのは、「ONEbase(ワンベース)」という開発拠点です。ここでは、金融インフラの開発現場としてはやや珍しい、ある考え方が採られています。

それは、「リーンスタートアップ」と「アジャイル開発」の実践です。リーンスタートアップとは、完成形を一度に作り込むのではなく、小さく作って使い手に試してもらい、反応を見ながら少しずつ磨き上げていく考え方です。アジャイル開発は、それを実現するための短いサイクルの開発スタイルを指します。いずれもスタートアップ界隈で広く使われていますが、金融インフラの世界でここまで本格的に採り入れられるのは、国内でも珍しい取り組みです。

使い手の声を聞きに行く

ONEbaseがとくに大切にしているのが、「価値検証」というプロセスです。新しい機能を思いついたら、すぐに作り始めるのではなく、まず実際に使うことになるお客様(資産運用会社や指定参加者のご担当者など)のもとへ足を運びます。インタビューを重ね、想定しているユースケースが本当に現場の業務を良くするのかを確かめる。必要であればごく小さなプロトタイプを触っていただき、その反応から学び直す――こうした「作る前の検証」に、大きな時間とエネルギーが注がれています。

ONEbaseのオフィスには、想定ユーザー像(ペルソナ)の名前が付けられた会議室もあります。「誰のために作っているのか」を日々意識させる、ささやかな工夫です。

生成AIと一緒に作る

もう一つの特徴は、生成AIの活用です。ONEbaseでは、開発業務の8割以上に生成AIを組み込む取り組みを進めています。設計書の下書き、コードの作成、テストの自動生成、ドキュメントの整備――ソフトウェア開発のさまざまな場面で、生成AIが開発メンバーの相棒として働いています。人間のエンジニアは、AIが出したアウトプットを確認し、金融インフラとして安全かどうかを判断する、より本質的な役割に集中できるようになりました。

「AIに任せる」のではなく、「AIと一緒に作る」。その結果、価値検証から実装、リリースまでの一連のサイクルを、従来の大規模開発よりずっと短い期間で回せるようになっています。

“見えない土台”を磨き続ける

ETFは、長期・分散・積立といった資産形成の考え方と相性のよい商品として、個人投資家の方々の間でも存在感を増しています。その足元を支えるのは、売買のスピードを競うシステムだけではありません。ETFが正しく生まれ、正しく維持されていくための、こうした地味な業務インフラもまた、市場の健全性を支える大切なピースです。

みなさまが日々ETFを売買されているその裏側で、たくさんの人たちが「もっと良い仕組みに」と地道に手を動かしている――。今回の記事が、投資の景色を少し違った角度から眺めるきっかけになれば幸いです。

(東証マネ部!編集部)

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