用途地域とは?調べ方や種類・都市計画との関係についても解説
用途地域とは、建築物の用途や容積率・建ぺい率などについて一定の制限を設ける制度です。機能的な都市活動や良好な都市環境の保護などを目的として、設けられています。
マイホームの購入を検討するなかで土地や住宅について調べていると、「用途地域」について目にすることがあります。住みやすさや周辺環境に関わる制度のため、不動産を購入する前に概要を理解しておくことが大切です。
本記事では、13種類の用途地域の概要を紹介したうえで、調べ方についても解説します。
用途地域とは
用途地域とは、機能的な都市活動や良好な都市環境の保護を目的として、建築物の用途や容積率・建ぺい率・高さ、外壁の後退距離、敷地面積などに対して一定の制限を設ける制度です。
2018年の都市計画法改正以降、13種類の用途地域が存在します。建物を建てる際は、用途地域ごとの決まりに従わなければなりません。
なお、用途地域の種類は各自治体によって異なります。例えば、2026年4月1日時点で札幌市が指定している用途地域の数は12種類です。
用途地域と都市計画の関係
用途地域は、都市計画のなかで定められています。
都市計画とは、都市計画法に基づく計画のことです。都市計画法第4条第1項では、都市計画について「都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する計画」と定められています。
都市計画には、土地利用に関するルールのほか、道路や公園などの都市施設の整備、市街地開発事業などが含まれます。用途地域は、そのうち地域ごとの土地利用のルールを定める制度のひとつです。
なお、用途地域の細かな内容についても、都市計画法の条文で確認できます(例:都市計画法第8条第1項)。
用途地域が必要な理由
用途地域を定める必要があるのは、住み良い街をつくるためです。
特段ルールを設けず、誰でも好きな建物を建てられるようにすると、住宅地のなかに工場や大型店舗が建設されるなど、土地利用が混在する可能性があります。また、住居が密集することで日照やプライバシーの面で生活環境が悪化したり、商業施設が不足して利便性が低下したりするケースもあるでしょう。
そこで、用途地域を設けることにより、地域ごとの特性に応じた土地利用を促し、快適で利便性の高い街づくりにつながります。例えば、工業系の地域では効率的な生産活動ができ、低層住宅が中心の地域では日照や住環境を確保しやすくなるでしょう。
13種類の用途地域一覧と特徴
用途地域は、居住用の建物が中心の住居系(8種類)、商業地が中心の商業系(2種類)、工業の発展を目的とした工業系(3種類)に区分できます。ここで、全13種類の用途地域の概要について押さえておきましょう。
住居系(8種類)
住居系の用途地域は、以下の8種類です。
・第一種低層住居専用地域:低層住宅向けの地域。店舗兼住宅や小規模店舗、小中学校などは建築可能
・第二種低層住居専用地域:低層住宅向け地域。第一種低層住居専用地域で建築可能な建物に加えて、150平方メートルまでの店舗も建てられる
・第一種中高層住居専用地域:中高層住宅向け地域。病院や大学、500平方メートルまでの店舗を建てられる
・第二種中高層住居専用地域:中高層住宅向け地域。病院や大学、1,500平方メートルまでの店舗を建てられる
・第一種住居地域:住居の環境を守るための地域。事務所やホテル、3,000平方メートルまでの店舗などを建てられる
・第二種住居地域:住居の環境を守るための地域。事務所やホテル、店舗などを建てられる(第一種住居地域と異なり、カラオケボックスなども可)
・準住居地域:自動車関連施設の立地や、住居環境との調和を図るための地域。国道など、道路の沿道が指定されている
・田園住居地域:農業や低層住宅向けの地域。第二種低層住居専用地域で認められている建物に加えて、要件を満たした農業用施設も建築可能
なお、田園住居地域は2018年4月に新たに創設された地域です。田園住居地域内で要件を満たす宅地化農地については、固定資産税の課税評価額を2分の1に軽減する、相続税・贈与税・不動産取得税の納税猶予を適用するなど、税制措置を受けられる場合があります。
商業系(2種類)
商業系の用途地域は、以下の2種類です。
・近隣商業地域:周辺に居住する住民が日用品などの買い物をするための地域。住宅や店舗に加えて、小規模の工場も建てられる
・商業地域:銀行・百貨店・映画館・飲食店などが立地する地域。住宅や小規模の工場も建てられる
近隣商業地域は住宅地に隣接した商店街などで見られることがあります。一方、商業地域は駅前や繁華街、オフィス街などで指定されることが一般的です。
工業系(3種類)
工業系の用途地域は、以下の3種類です。
・準工業地域:軽工業の工場やサービス施設などが立地する地域。危険性や環境悪化が大きい工場を除き、ほとんどの建物を建てられる
・工業地域:どのような工場も建てられる地域。学校・病院・ホテルなどは建てられない(住宅や店舗は建築可能)
・工業専用地域:工場のための地域。住宅・店舗・学校・病院・ホテルなどは建てられない。
工業系の用途地域でも、準工業地域と工業地域であれば住宅を建築できます(工業専用地域は対象外)。ただし、住居の環境を優先するために指定される地域ではないため、住宅の購入や建築を検討する際は、周辺にどのような工場や事業所が立地しているかも確認するとよいでしょう。
用途地域の理解に必要な用語
容積率や建ぺい率は、用途地域の理解に欠かせない用語です。ここから、それぞれの意味や計算方法について解説します。
容積率
容積率とは、建築物の延べ床面積の敷地面積に対する割合のことです。以下の式で計算できます。
・容積率(%) = 建築物の延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100
例えば、延べ床面積が264平方メートルで敷地面積が165平方メートルの場合、容積率は160%です(264 ÷ 165 × 100)。
なお、延べ床面積とは各階の床面積の合計のことです。1階98平方メートル、2階96平方メートル、3階70平方メートルで、延べ床面積が264平方メートルになります(98 + 96 + 70)。
建ぺい率(建蔽率)
建ぺい率(建蔽率)とは、建築物の建築面積における敷地面積に対する割合のことです。以下の式で計算できます。
・建ぺい率(%) = 建築物の建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
例えば、建築面積が82.5平方メートルで敷地面積が165平方メートルの場合、建ぺい率は50%です(82.5 ÷ 165 × 100)。
なお、建築面積とは、建物を真上から見たときの面積を指します。そのため、建物の形状によっては、1階の床面積と一致しないケースもあります。
用途地域の調べ方
用途地域を調べる方法は、主に以下の通りです。
・各自治体のサイトにアクセスする
・国土数値情報を確認する
それぞれ解説します。
各自治体のサイトにアクセスする
各自治体のサイトにアクセスすることで、気になるエリアの用途地域を確認できる場合があります。東京都の土地について、用途地域を確認する際の流れは以下の通りです。
1. 東京都都市整備局のインターネット提供サービスにアクセスする
2. 「都市計画情報」をクリックする
3. 利用規約を確認したうえで、「同意する」を選択する
4. 気になる土地の住所を絞り込む
5. 「表示切替」部分の「用途地域」にチェックを入れて、該当箇所の色を確認する
6. 「都市計画情報 凡例」をクリックし、色がどの用途地域に該当するかを確認する
なお、自治体によって調べ方が異なります。サイトで確認できない場合は、自治体に直接問い合わせましょう。
参考:東京都 都市整備局「都市計画情報等インターネット提供サービスについて」
国土数値情報を確認する
国土交通省が運営している「国土数値情報ダウンロードサイト」にアクセスし、国土数値情報を確認する方法もあります。国土数値情報とは、行政区域や鉄道、河川、地価公示など、国土に関するさまざまな情報を整備したデータです。
「国土数値情報ダウンロードサイト」の「都市計画決定情報」にある「用途地域」を選択すれば、都道府県ごとの用途地域に関するデータを取得できます。ただし、データはGIS形式で提供されているため、一般的なWebサイトの地図のように閲覧できるわけではありません。利用にあたって、GISソフトに読み込むなどの手間がかかる点に注意しましょう。
用途地域は市街地を用途ごとに区分する制度
用途地域とは、機能的な都市活動の確保や良好な住環境の保護などを目的として、建築物の用途や容積率・建ぺい率などに一定の制限を設ける制度です。住居系(8種類)、商業系(2種類)、工業系(3種類)の合計13種類に区分されています。
低層住宅を中心とした地域もあれば、商業施設や工場の立地を想定した地域もあるなど、用途地域によって建築できる建物の種類や規模が異なります。マイホームの購入や建築を検討する際は、用途地域を確認しておくと周辺環境や将来の街並みを把握しやすくなるでしょう。
参考:e-Gov 法令検索「都市計画法」
参考:厚木市「用途地域」
ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。


