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ロケット開発競争と日本の部材産業の可能性

今、注目が集まる宇宙関連ビジネス

提供元:みずほ証券

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注目が集まる宇宙

2026年6月、日本の次世代基幹ロケット「H3」6号機の打ち上げが成功しました。今回のミッションは、打ち上げコストの低減をめざすもので、低コスト化と高頻度打ち上げを進める海外勢との競争において、日本の競争力を占ううえで重要な試みでした。

近年、宇宙ビジネスへの注目は、世界的に高まっています。世界経済フォーラム(WEF)の2024年の試算では、宇宙関連ビジネスの市場は2023年から2035年にかけて年率平均9%成長し、市場規模は2023年の6,300億ドルに対して、2035年には1兆7,900億ドルに達するとされています。

人工衛星を活用した通信や観測は、すでに私たちの日常生活や経済活動に欠かせないインフラとなっており、その基盤を支える「宇宙輸送」の重要性も一段と増しています。本稿では、ロケット開発をめぐる競争環境と、日本の関連産業に広がるビジネス機会について考えたいと思います。

衛星コンステレーション拡大がもたらすロケット打ち上げ需要

現在、宇宙分野の成長をけん引しているのが「衛星コンステレーション」です。複数の小型衛星を連携させて一体的に運用する仕組みで、これによって高速・大容量通信や高解像度・高頻度の地球観測データの提供が可能になります。日本ではこうして取得した衛星データを、スマート農業やインフラの予防保全、防災・減災等に活用することをめざしています。こうした人工衛星等の大量投入を前提としたロケットの打ち上げ需要の拡大を背景に、世界各国でもロケットの打ち上げ回数が増加しています。

通信インフラとしての衛星の役割は、今後さらに拡大する見通しです。それに伴い、小型衛星の打ち上げニーズも増加が続くとみられます。日本政府もこの流れを踏まえ、2030年代前半までに官民合わせて年間30件程度の打ち上げ能力を確保する方針を掲げています。官民が連携した高頻度打ち上げ体制の構築が、今後の重要なテーマとなるでしょう。

世界で加速するロケット開発競争

ロケット開発の競争も一段と激しさを増しています。米国や中国では、月以遠への大量輸送を目的とした超大型ロケットの開発が進む一方で、各国では民間企業による小型・中型ロケットの開発も活発化しています。

競争の軸として、「輸送能力の向上」「打ち上げコストの低減」「打ち上げ頻度の向上」などが挙げられます。ロケットを低コストかつ高品質に量産する体制の構築は、打ち上げコストの引き下げに直結する重要な要素といえるでしょう。

日本においては、大型ロケット「H3」の安定打ち上げが今後の重要な礎となります。安定した運用実績が積み重なれば、国際的な競争力の向上にもつながる可能性があるでしょう。

過酷環境に挑む「部材技術」の価値

ロケット等に使われる宇宙用材料は、超高温・超低温という過酷な環境にさらされるうえ、打ち上げ時には大きな負荷がかかることから、高い信頼性(故障の少なさ)が求められます。

こうした分野において、日本の部品・材料メーカー(以下、部材メーカー)が参入・開発を進めている分野もあります。また、ロケットの構造体や燃料タンクの素材として、軽量で高強度の炭素繊維が有望視されています。さらに、ロケットエンジンに燃料を供給するターボポンプや、ロケットを衛星の軌道投入場所[HH1.1]まで導くためのセンサーなど、日本の部材メーカーは宇宙分野を成長分野と位置付け、取り組んでいます。

サプライチェーン強化と国内産業の機会

一方で、宇宙ビジネスは多品種・少量生産が中心であり、民間企業にとって採算確保が課題とされてきました。

これに対して日本政府は、安全保障の観点からも、自国の衛星を国内のロケットで打ち上げる割合(2015~24年累計で約50%)(内閣府「宇宙輸送に係る最近の状況」より)を高める方針を示しており、国内企業への発注拡大につながる可能性があります。政府は、重要部品の国産化やサプライチェーンの自律性強化に向けた対応を講じるとの方針を示しており、国内の部材メーカーにとって新たなビジネス機会の拡大が期待されます。

最後に

宇宙ビジネスは、かつての国家プロジェクト中心の時代から、民間企業が主導する成長産業へと変化しつつあります。ロケット開発競争の激化に伴い、その裾野に広がる部材・装置・サービス分野においても、多様なビジネス機会が生まれていると考えられます。

投資の観点では、ロケット本体の開発企業に加え、1.高頻度打ち上げ体制を支えるインフラ、2.衛星データ活用サービス、3.高付加価値部材・材料、4.サプライチェーン国産化の恩恵を受ける企業群など、幅広いテーマが考えられます。

今後は、ロケット打ち上げ能力の拡大と国内サプライチェーンの強化がどの程度進展するかが重要な注目点となります。中でも日本の部材メーカーは、高い技術力を背景にグローバル市場で存在感を高めていく可能性があり、本分野の中でも注目される領域の一つと考えられるでしょう。

みずほ証券

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