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日本成長戦略を支える2つのAI!「バーティカルAI」と「フィジカルAI」に注目

提供元:岡三証券

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AIが急速に浸透し、開発競争は激化

いまやAIは私たちの生活を支える身近な技術となりました。レポートの要約をAIに頼んだり、旅行の計画を立ててもらったり、日常的に生成AIを使っているという方が多いのではないでしょうか。世界ではAIの更なる発展に向け開発競争が激化するとともに、その技術をいかに社会実装し、経済成長へ結び付けるのかという競争も始まっています。

政府はAX(AIトランスフォーメーション)を推進

このようななか、政府は7月に「日本成長戦略」を閣議決定しました。同戦略では、「成長投資」と「危機管理投資」を柱として17の戦略分野を定め、2040年度までに累計370兆円超の官民投資を目指しています。そして、その全ての分野の競争力強化を支える基盤として位置付けられているのが、AX(AIトランスフォーメーション)です。

AXとは、AIを導入すること自体が目的ではなく、AI導入を前提に仕事の進め方や意思決定のあり方を見直し、企業や社会の仕組みそのものを進化させていく考え方を指します。政府はこうした変革を後押しするため、AI・半導体分野を成長戦略の重点領域に位置付けており、同分野における2040年度までの官民投資額は累計101.6兆円を想定しており、全体の約3割に達する見通しです。もっとも、これまでのAI関連市場を見渡すと、計算資源や大規模モデルの開発では米国や中国の存在感が際立っています。そのため、日本が同じ土俵で競争するだけでは、競争優位を確立することは容易ではありません。そこで注目したいのが、日本が強みを発揮しやすいとみられる2つのAI、「バーティカルAI」と「フィジカルAI」です。

バーティカルAIで日本が誇る「現場力」を競争力に

まず、バーティカルAIとは、製造業や物流、建設、金融など特定の業界や業務に特化した「領域特化型AI」のことです。ChatGPTのような「汎用AI」は幅広い用途に対応できますが、業界特有の知識や現場ごとの細かな判断まで再現することは容易ではありません。一方、バーティカルAIは特定の業界や業務に特化することで、より専門性の高い判断を行える点が特徴です。導入することでさまざまな業務の効率化、高度化につながることが期待されています。

日本企業には、長年のモノづくりの歴史を通じて蓄積してきた「現場力」があります。熟練技術者のノウハウや工場設備の稼働データ、品質管理の記録などは、海外企業が簡単に再現できるものではありません。このような現場力をAIがさらに高めることができれば、これまで人や企業に蓄積されてきた技術や知見の活用価値が高まり、生産性向上や人手不足への対応につながることが期待できるでしょう。政府も同分野の育成を重点政策のひとつに掲げており、日本成長戦略では2040年度までにバーティカルAIへ累計23.1兆円の官民投資、経済波及効果222兆円を想定しています。政府は2030年における世界のバーティカルAIの市場規模を33兆円程度と見込み、そのうち少なくとも5兆円以上の市場を日本が獲得する目標を掲げています。

フィジカルAIは次世代の稼ぎ頭に?

続いて、フィジカルAIです。株式投資を通じてAIの話題に触れる機会も増えており、この言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。フィジカルAIとは、AIがロボットや機械設備を自律的に制御する技術を指し、AIを現実世界で動かす技術ともいえます。日本では、少子高齢化に伴う構造的な人手不足などを背景に、省人化や自動化への需要は一段と高まっていくとみられ、このような課題を解決する次世代の産業として関心が高まっています。

日本は産業用ロボットや、ロボットの動作を支えるモーター、減速機などの分野で世界トップクラスの競争力を持っていることから、フィジカルAIの社会実装においても優位性を発揮しやすいと考えられます。日本成長戦略では2040年度までに累計10.5兆円の官民投資、経済波及効果は144兆円を想定しており、2040年に米中に並ぶ第三極として世界のフィジカルAI市場で3割強のシェア獲得を目指すとしています。

最後に

これまで株式市場では、半導体やデータセンターをはじめとするAIインフラ関連への関心が中心でした。しかし今後は、AIを実際の産業や社会へ組み込み、新たな付加価値や生産性向上を実現するAXのフェーズへと関心が広がっていくとみています。現場の知見やノウハウを学習するバーティカルAIと、その判断をロボットや設備の動きとして実行するフィジカルAIは相互に補完し合う関係にあり、日本が強みを持つ現場データやロボット技術を活かせる存在として、今後さらに存在感を強めていきそうです。

図表:「AI・半導体」分野の官民投資額と経済波及効果の想定

※出所:内閣官房 作成:岡三証券
想定は2040年度までの合計値、2026年7月21日現在

岡三証券

著者/ライター
入間田 陸
資産運用コンサルティング業務を経て、投資戦略部に配属。現在は日本株を中心としたリサーチ業務に従事。テレビへの出演や、新聞等でコメント。

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