米国株式市場:AI主導相場は継続も、セクター選別がより重要に (2026年9月セクターレビュー)
提供元:ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント
米国株式市場では引き続きAI関連テーマが市場を牽引していますが、9月は長期金利の上昇が市場の大きなテーマとなりました。こうした環境下でも、情報技術セクターやコミュニケーション・サービスセクターは堅調な業績見通しを背景に市場をアウトパフォームしています。
一方で、セクター間のリターン格差は引き続き高い水準にあり、相関も低下傾向にあります。市場全体への投資だけでなく、どのセクターを保有するかがパフォーマンスに与える影響が大きい環境が続いています。
情報技術セクター:AI需要と業績改善が引き続き支援
今月も情報技術セクターが市場の中心テーマです。消費者向けAIエージェントの普及やAI関連投資の拡大を背景に、2027年に向けた業績見通しは引き続き改善しています。
長期金利の上昇は通常テクノロジー株に逆風となりますが、足元では利益成長の力強さがそれを上回っており、情報技術セクターは過去最高値を更新しました。機関投資家のポジショニングも過去5年間で最も高い水準まで上昇しています。
ヘルスケアセクター:景気減速懸念下で存在感が高まる
ヘルスケアは引き続き有望なセクターの一つとして位置付けられています。利益予想の改善が広がりつつあり、2027年のEPS成長見通しも大きく改善しています。
加えて、生活必需品や公益事業など他のディフェンシブセクターを上回るパフォーマンスが続いており、市場環境が不安定化する中でも成長性と防御性を兼ね備えたセクターとして評価されています。
金利上昇:セクター間の明暗を分ける要因
今月のレポートでは、長期金利上昇の影響について詳しく取り上げています。
一般的には不動産や公益事業など金利感応度の高いセクターには逆風となる一方、過去のデータを見ると、情報技術やヘルスケアは金利上昇局面でも相対的に良好なパフォーマンスを示してきました。
また、金融セクターについては金利上昇の恩恵が期待される一方で、足元ではイールドカーブのフラット化が逆風となっており、短期的にはやや慎重な見方が必要と考えられます。
資本財セクター:製造業回復が利益成長を後押し
資本財セクターは短期的なパフォーマンスこそ冴えないものの、ファンダメンタルズ面では改善が続いています。
製造業PMIが拡大圏を維持する中、資本財セクター内では業績改善の裾野が広がっており、建設関連、輸送、航空宇宙・防衛など幅広い業種で2027年利益成長期待が高まっています。
資金フローとポジショニング:ディフェンシブに資金流入、機関投資家は依然テック選好
9月は公益事業や不動産への資金流入が目立ち、市場参加者がよりディフェンシブな領域へ資金を移し始めている様子が確認されました。
一方で、機関投資家のアクティブ・ポジショニングは依然として情報技術セクターへ集中しており、投資家のAI関連テーマへの強い確信は継続しています。
一般消費財セクター:利益見通しに改善の兆しは限定的
一般消費財セクターについては、依然として慎重な見方を維持しています。
業界全体で利益予想の下方修正が続いているほか、金利高止まりの見通しが消費関連企業の重しとなっています。現時点では他セクターと比較して魅力は限定的と考えています。
今後1か月を見据えた注目点
今後は引き続きAI関連テーマの持続性に加え、長期金利の動向、製造業活動の推移、そして米中間選挙を巡る政策期待などが注目材料となります。
現時点では、情報技術とヘルスケアが引き続き相対的に優位なポジションにある一方、資本財は中長期的な改善余地を持つセクターとして注目しています。市場全体としては、AI一辺倒ではなく、業績とファンダメンタルズを重視したセクター選別の重要性がさらに高まっていると考えています。
(ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント)
セクター・スペシャリスト
ヴァイス・プレシデント
2025年11月にステート・ストリート・インベストメント・マネジメントに入社。機関投資家及びリテール向け営業活動を支援するセクター・スペシャリストチームの主要メンバーとして、投資、マーケティング、プロダクト、ガバナンス各チームと連携しながら、セクター戦略の国内におけるプレゼンス及びポジショニングの強化に取り組む。
ステート・ストリート入社以前は、モルガン・スタンレーMUFG証券で電子取引部門のシニアメンバーに従事。それ以前はバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ及びゴールドマン・サックス証券にて、クロスアセット製品における多様なトレーディング、セールス、リスク関連を歴任。
ボストンカレッジにてプレローを重点とした社会学の学士号を取得、その後、英国BPPロースクールにて法学を学ぶ。
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