ETFの付加価値とは?
提供元:野村證券
ETFの付加価値とは?
前回は、「ETFはインデックス投資を行う場合の便利なツールであり、取引所で売買できるという付加価値のある商品です。この付加価値を認識しておくと、『インデックス投信』か『ETF』かという使い分けに、あまり時間をとられなくなります。」と締め括りましたので、今回は宿題である「ETFの付加価値」についてお話しいたします。
取引所の機能をフル活用
株式投資を経験されている方には当たり前のことですが、取引所の主な役割は、上場している証券(株式、ETFなど)の売買注文を集中させて需給を合致させることにより、その時々の証券の時価を決めることにあります。投資家の観点からいうと、証券を売りたい人に現金化の機会を、買いたい人に保有するチャンスを与える場といえます。さらに売買が成立した結果としての約定価格は、様々な媒体を通じて周知されます。ETFの付加価値のひとつは、取引時間中の約定価格や売買金額を容易に知ることができる点にあります。また約定価格だけでなく、インディカティブNAV(取引時間中のETFの基準価額の推定値)という便利な指標が存在します。それは、その時点のETFの理論的な価値を表しており、時価や注文価格が割安か、割高かを比較するのに活用されます(ただし外国株指数に連動するETFなど、インディカティブNAVが公表されていない銘柄もありますのでご留意ください)。
ETFの時価の決まり方や売買の方法は株式と同様ですが、それは既存の巨大なインフラストラクチャーとしての取引所の機能をフルに活用できるETFのメリットといえるでしょう。ETFは取引所の取引時間中であれば、いつでも売買が可能であること、インディカティブNAVという参考指標を利用できること、といった取引所に上場するがゆえの付加価値があることをご紹介しましたが、その他に、どのような特徴があるでしょうか。
注文方法を自由に決められる
ところで、インデックス投信のうち日本株指数に連動するものは、通常、午後3時の株価終値から計算される「基準価額」で売買(追加設定、解約)します。注文の期限はどんなに遅くても午後3時より前になりますので、投資家は自分が取引する「基準価額」を事前に知ることはできず、いくらで買えたか、売れたかは事後的にしか知りえません。さらに注文価格を指定する自由もありません。もしインデックス投信の対象指数の価格変動性が高いものだと、投資家はこの注文方法は不便だと思うかも知れません。例えば、注文後になんらかのニュースが報道され、株価指数がどんどん上昇するようなケースがそれです。ところがETFでは、注文方法の自由度が高いため、そのような場合にも融通が利いた取引が可能です。ETFの注文価格は投資家自身が自由に決めることができますし、約定前であれば、インデックス投信同様、その注文を取り消すこともできるからです。このように、インデックス自体の動きをとらえつつ、その他の状況を鑑みながら、注文価格を自由に決められるのは、取引所での売買ならではの特徴です。その際、取引所の板情報(どの価格帯にどれくらいの注文が入っているかなど、現在の注文数などの状況をリアルタイムに表示するもの)を参考にすることもできます。ただし注文する価格によっては、約定が成立しないこともあります。それは注文価格が自由に決められるという長所の裏返しといえるでしょう。しかし、注文方法に関してETFはかなりの自由度をもつわけで、これもETFの付加価値の一つといえるでしょう。その他の付加価値については、次の機会に説明を譲ることにいたしましょう。