情報収集にかかる時間も投資のコスト
低コスト投資が実現可能なETF
提供元:ブラックロック・ジャパン
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「投資コストとETF」
ETFの特徴として、投資家が負担するコストである信託報酬が低い傾向にあることがよく取りあげられます。一般的に、市場全体の動きを示す指数への連動を目指すETFは、複数のETF運用会社から発行されています。同じ指数への連動を目指すのであれば、信託報酬の低さは選択の際に考慮すべき要素の一つとして重要と考えます。例えば、東証に上場している、TOPIX、日経225に連動するETFの信託報酬を見てみましょう。
「銘柄選択にかかる時間を節約」
ETFの活用によって抑えることができるコスト(負担)は、このような投資家が経済的に負担するコスト面だけではないと考えます。例えば、個人の投資家が多くの銘柄群から投資対象を選び出すには、かなりの時間や労力が必要になります。投資家が情報収集のために銘柄選択に費やす時間もコストであると考えれば、ETFの活用によって投資家はそのコストを節約することが出来るとも考えられます。
近年のETF商品のラインナップを見ますと、TOPIXや日経225など代表的な指数に連動するETFのみならず、様々な投資目的に照らした指数やそれに連動するETFが開発されています。iシェアーズの東証上場ETF上場シリーズの日本株ETF7銘柄に着目すると、そのうち4銘柄はある特定の投資目的のために、何段階かの基準をもって選び出される銘柄で構成される指数に連動することを目指すETFとなっています。
一つの例として、「設備・人材投資ETF」の銘柄選択をとりあげます。このETFは、設備・人材投資に積極的かつ効率的に取組む企業として指数を構成する銘柄に投資しています。設備投資や人材面での投資を積極的に行っている企業といっても、財務状態や業績が悪化している一方で投資の規模を拡大させているような企業への投資は健全ではありません。また、各企業の人材面の投資の良し悪しは、財務諸表などの公開情報だけで行うことは困難です。そこで、JPX/S&P 設備・人材投資指数に連動したETFを活用すれば、設備投資の成長性、設備投資の効率性、人材投資の充実度を評価し、さらに取引の安全性として流動性や信用力も配慮した上で選び出された、設備・人材投資に積極的かつ効率的に取組む企業に投資を行うことが可能です。
「特定の投資目的を目指し銘柄選定がなされたETFという選択肢」
上記のような銘柄を選び出す手順は、株式の投資経験の浅い投資家によってはその内容の把握が難しいと感じることもあるかもしれませんが、特定の投資目的を満たすことを目標に銘柄選定がなされたETFを活用することで、投資目的にあった投資が比較的容易に行えるかもしれません。例えば、「高配当利回りETF」は配当利回りに着目した商品ですが、一時点の配当利回りが高い銘柄だけを投資対象にしたETFではありません。指数のコンセプトとして、過去5年の利益に対する配当の妥当性、配当金額の動向、財務の安定性などから銘柄の選択を行い、過去の株価下落によって配当利回りが一時的に高く見えているような銘柄は除外されます。つまり、当ETFは、連動を目指す指数の構成銘柄として、配当利回りという単一の指標では捉えられない銘柄選択の条件を取り入れ、長期的に安定的な配当利回りの追求を目指した投資が行える仕組みを持っています。
その他の例ではポートフォリオとして価格変動の小さな銘柄群(最小分散)を構成するという目的で日本株最小分散 ETFなどもあります(詳しくは2016/12/08掲載の「長期資産運用に活用できるETF、価格変動を抑えた最小分散型投資をETFで実現」でも触れていますので、あわせてご覧ください)。
いずれのETFも指数の構成内容として投資対象の選定ルールが事前に決められ、かつその情報はインターネット上などで公開されていますので、常時、指数の構成内容を確認することができます。投資家が煩雑な銘柄選定の時間や手間隙をかけずとも、自身の投資目的とあった市場・指数を見つけることを通じて、投資目的にあった投資が実現できるということが、ETFがもたらす低コスト投資のもう一つの魅力と言えるのではないでしょうか。