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投資に役立つ相場格言

提供元:SMBC日興証券

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相場格言は、相場に対する心構えや投資家心理等、投資の本質を表すものとして、米相場の時代から長く言い伝えられてきています。米と株式では商品が異なることから、本来の意味を準用する形で使われているものもありますが、投資家の心構えや相場の動向などを簡潔かつ適切に表現しているものも多く、現代の投資家にとっても非常に参考になります。トランプ相場に対峙するうえで、参考になる相場格言を紹介します。

「節分天井、彼岸底」

昔から、相場の経験則に基づき「節分天井、彼岸底」という格言があります。2016年は年初から株式相場は崩れ始め、節分を過ぎた2月12日に前日比で760.78円安と大幅な下落を見せ、その後ようやく一旦切り返しました。格言とは異なり「節分底」であったように思います。

株式市場では、節分あたりが10-12月期の決算発表が注目される時期であり、また通期の決算を見極める最後のタイミングという点では、年初から株式市場に買いが入りやすいといってもよいでしょう。しかし一方で、2月に入ると、多くの本邦機関投資家等は年度末を3月に控え、手控えムードから手仕舞いの売却先行となり、株式市場の上値を抑えがちになります。

2017年は、年初から高値圏で揉み合っていますが、トランプ米大統領の誕生により、世界の投資家たちがトランプ米大統領の発言や行動に端を発するさまざまなリスクへの警戒を高めているのは事実でしょう。このため、今年は、「節分天井」となる可能性があるとみている専門家たちも多いのではないでしょうか。

「あつものに懲りて、なますを吹く」

これは、人は熱い料理を口にして、一度火傷をすると、それに懲りて冷たい料理までも吹いて冷ますという意味ですが、昨年の年初の相場が荒れ模様であったことに加え、今年はトランプ米大統領の発言等による先行き不透明感が強いことからも、警戒心からなかなか株式投資を積極化しにくいのかもしれません。

しかし、足元の株式市場は、トランプ米大統領のお膝元のNYダウ工業株30種平均株価が史上最高値を更新する一方、日経平均株価も2万円を目前に底堅く推移するなど、堅調な地合いが継続しています。その中で株式投資を積極化できずにいると株価が更に上昇してしまい、「あつものに懲りてなますを吹く」との格言通りに、安く株式投資のできる機会は「なます」を吹いている間に去ってしまうかもしれません。

「鹿を追うものは山を見ず」

足元の株式市場の堅調さはトランプ大統領による景気刺激策期待の表れと多くのメディアはコメントしています。

本当にそうなのでしょうか。確かに、トランプ米大統領の発言や行動による様々なリスクが未だ発生していない(実はマイルドかもしれない)が故に株式相場が大幅には値崩れしないのと同様に、トランプ米大統領によるインフラ投資や減税などによる米経済の押し上期待も何も顕在化はしていない(実は、期待したほどではないかもしれない)訳です。

昨年の伊勢志摩サミットでは、金融政策や為替水準に注目が集まりましたが、先進国の財政支出拡大を後押しする合意内容となり、安倍政権はその後28兆円を超える経済対策を打ち出しました。こうした状況下で、昨年の夏以降、日本も米国も僅かずつではありますが、長期金利が頭を持ち上げてきています。

トランプ米大統領のインフラ支出拡大・減税等の政策はこの流れに沿ったものであり、需要の高まりを背景とした物価の押し上げ期待が米長期金利を更に押し上げる材料となっています。昨年夏以降のこうしたデフレ脱却への流れが、『金利上昇(=債券売却)⇒期待感からの株式買い』を生み出していると考えられます。

こうして考えると、足元の株式相場の堅調さは、トランプ政権に対する期待感以上に、財政支出政策の拡大合意をきっかけとした世界経済の回復、すなわちデフレ脱却への動きのうえに成り立っているものと言えます。

時には「鹿」(目先の利益)だけでなく「山」を見ることで、中長期の相場の流れが見えやすくなるのではないでしょうか。

「相場の器用貧乏」

相場の短期的な動向の見極めや相場解説させると天下一品なのに、なぜか株式投資では全く成果が上がらない状態を指します。まさに、現在はトランプ米大統領がどんなことを言うのか、どんなことをするのかによって、一喜一憂する相場であることはだれも否定はしません。

しかし一方で、前述の通り、先進国の財政支出拡大政策の効果により、金利上昇やデフレ脱却が実現し、経済が再び正常な循環に戻り始めるという大きな流れがあるのであれば、「相場の器用貧乏」にならず、長期的な視点で株式投資を前向きにとらえるタイミングなのかもしれません。

用語解説

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