インデックスファンドの流儀
「カイリ」をめぐる三角関係
提供元:野村アセットマネジメント
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前回の「インデックスファンドは誰が運用しても同じなのか」でお話ししたように、インデックスファンドの運用担当者は指数への連動を目指して、言い換えれば、指数からの乖離(かいり)幅をできるだけ小さくなるように、様々な工夫を凝らしています。一方で、インデックスファンドの一種でもあるETF(上場投資信託)においては、上場という仕組みならではの「もう一つの乖離」が存在します。
指数と基準価額のカイリ
指数への連動を目指すインデックスファンドは、組入銘柄の売買コストやタイミング、運用管理費用(信託報酬)など、様々な要因により指数から下ぶれ(下方乖離)してしまう傾向にあり※、この下ぶれをいかに減らすかが運用担当者の腕の見せ所となります。なお、指数への連動がどの程度正確に実行されているかを判断する際には、主にファンドの騰落率と指数の騰落率を比較する方法が取られます。
※一般的には下ぶれの要因が多いですが、ベンチマーク指数が配当なしの場合、配当収益分だけ上ぶれ要因になることがあります。
具体的に見てみましょう。野村アセットマネジメントが運用しているTOPIX連動型上場投資信託(銘柄コード:1306)の直近の日次騰落率を見ると、ETFとベンチマークであるTOPIXの日次の騰落率の差がほとんどない(乖離が少ない)ことがお分かり頂けます。
日付 | TOPIXの日次騰落率 | TOPIX連動型上場投資信託の 日次騰落率 |
騰落率差 |
2017/7/28 | -0.35% | -0.35% | 0.00% |
2017/7/31 | -0.16% | -0.17% | -0.01% |
2017/8/1 | 0.61% | 0.61% | 0.00% |
2017/8/2 | 0.36% | 0.36% | 0.00% |
2017/8/3 | -0.03% | -0.04% | 0.00% |
2017/8/4 | -0.15% | -0.14% | 0.00% |
2017/8/7 | 0.48% | 0.48% | 0.00% |
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
もう一つの価格とカイリ
ここまでは基準価額と指数の乖離について説明しましたが、実はETFには、基準価額以外に市場価格というもう一つの価格が存在します。
ETFの基準価額は、一般の投資信託と同様に、ファンドの保有資産を評価時点の価格で評価し、信託報酬等の経費を差し引いて算出した価格であり、1日に1回公表されます(基準価額の単位は、売買単位となる10口単位や100口単位で表示されることが一般的です)。一方、市場価格は、一般の株式と同様に、投資家が取引所で売買する際の価格のことで、その時の需給を反映し、時々刻々と変化します。
基準価額は、市場価格とは異なり市場での取引価格を表すものではありませんので両者の間には乖離が生じます。そして、この乖離は市場価格の割安・割高を判断する際の目安になります。特に売買が少なく流動性が低いETFでは、市場価格と基準価額の乖離が大きくなる傾向がありますますので、市場での取引の際は基準価額を参考にするとよいでしょう。
なお、野村アセットマネジメントのホームページでは、ファンド毎に、「指数」「基準価額」「市場価格(終値)」と乖離率をご確認頂けます。
■TOPIX連動型上場投資信託(銘柄コード:1306)の商品ページ
http://nextfunds.jp/lineup/1306/detail.html
以上、お話しさせて頂いたように、ETFの値動きには、「基準価額」「市場価格」「指数」の3つの値が関係します。
「基準価額」の騰落率は、「指数」の騰落率にほぼ連動します。
一方、投資家の動向が反映される「市場価格」は、必ずしも「基準価額」と同じではありません。
しかし、長い目で見れば、「基準価額」および「市場価格」は、いずれも「指数」と同様な値動きをします。
3つの値と2つのカイリの関係をご理解いただくと、ETF投資が身近に感じられるのではないでしょうか。
なお、乖離についてさらに詳しくお知りになりたい場合は、NEXT FUNDS専用サイトの中のコンテンツをご覧ください。
http://nextfunds.jp/etf/aboutkairi/