今知っておきたい、次なる投資先
世界の成長、新興国株投資に注目
提供元:みずほ証券
日本とは対照的に、世界では人口が増え続けている
国際連合および国際通貨基金(IMF)の統計によると、世界の人口は2030年に85億人と2015年に比べて12億人(16%)増え、GDPは30年に111兆ドルと同43兆ドル(63%)の増加が予測されています。
人口増は自然需要の増加によりGDPを拡大させます。
株式市場はこうした人口増による持続的な経済成長およびそれにともなう企業収益の拡大期待から上昇基調を維持するとの見かたが一般的です。
経済は拡大し続けている。次に目を向けるべき地域は
世界の株式時価総額は、2016年に65兆ドルと1980年の3兆ドルから20倍超に拡大。この間、1987年のブラックマンデーや2000年初頭のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック等で一時的な調整局面はあったものの、長期の拡大トレンドが崩れることはありませんでした。
地域別では、先進国に勝る人口増と技術力のキャッチアップがめざましい新興国の株式にその成長性の大きさを見いだすことができそうです。
今知っておきたい“新興国”のこと
まず、新興国株の強みは、自国内で人口が増えていること、なかでも生産年齢人口(15歳~64歳までの人口)の増加していることです。新興国の生産年齢人口は2015年の40.1億人から2030年に47.4億人へ、7.3億人増加すると予測されています。
一方で先進国では2015年の8.3億人から2030年に7.9億人へ、0.4億人減少することが予測されています。
生産年齢人口の増加は経済成長による賃金増とあいまって中間所得層の拡大を促し、消費の拡大や多様化、ひいてはそれを稼ぎとする企業の収益拡大要素となるでしょう。また、新興国では中国を中心に先進国からの技術移転等により技術力の向上もめざましいものがあります。デロイト トウシュ トーマツ リミテッドと米国の競争力協議会の調査によると、2016年の製造業競争力ランキングで新興国は上位15ヵ国中、中国、メキシコ等の4ヵ国がランクイン。
2020年のランキングではベトナム、マレーシア等が順位を上げ、新興国は上位15ヵ国中約半数の7ヵ国がランクイン。新興国の躍進が期待されています。
新興国株に投資するときの判断基準は?
では、新興国株の成長性を実際にどうみたらよいでしょうか。
1つの判断基準としてよくつかわれるのが両者の相関関係に基づく世界のGDPに占める割合と株式時価総額に占める割合の比較です。
これによると、世界のGDPに占める新興国比率は2016年に39%(2000年21%)。対して株式時価総額に占める新興国比率は同年末時点で24.8%(2000年末4.6%)とGDPの比率を15ポイント程度下回っています。これは新興国の経済成長に対して、株式評価が先進国のそれに劣後している状況を意味しています。
ではなぜ新興国はGDPの拡大ペースに比べて株式評価が出遅れているのでしょうか。
その要因には高い経済成長を阻害しかねない政治・社会の不安定化リスクや、先進国企業の新興国進出による成長果実の「とりっぱぐれ」があります。
ただ、今後の方向性として新興国株は、自国の中間層拡大で政治・社会の安定化が進展し、さらに技術力を含む企業の競争力向上で自国の成長果実をより多く味わう局面に入ってくるものと想定されます。
新興国株の伸びしろはどれくらい?
今後、経済成長に対する株式評価が少なくとも先進国並みに近づくとすれば、新興国株は現値から5割超(39%÷24.8%)の成長可能性が見込まれます(世界経済全体の減速や先進国株下落によるつれ安リスクを考慮しないベースで)。
東証に上場している新興国全体を投資対象としたETFとして最も上場期間が長いものに2010年2月24日上場の上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)(コード1681)があります。2017年11月8日時点の上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)の上場来騰落率は+46%、年初来騰落率は+24%と堅調に推移。
そのほかの新興国ETFはiシェアーズエマージング株ETF-JDR(MSCIエマージングIMI)(1582)、iシェアーズフロンティア株ETF-JDR(MSCIフロンティア100)(1583)、iシェアーズ・コアMSCI新興国株ETF(1658)が上場しているので、投資先として注目してみるのもいいでしょう。