トランプさんが「あんまり」だから…!?
「Look West」でいこう !!
提供元:ちばぎん証券
早いもので2018年も折り返し点を通過。
世界では今年も、いや特に今年は、思わず聞き返してしまうような大きなニュースが相次いだように思います。
あれよ、あれよと言う間に実現した米朝首脳会談しかり、トランプ大統領が中国に、そしてEUや日本などの同盟国に対しても繰り出した強硬な通商政策しかり。さらに私は「マハティール氏、マレーシアの首相に就任。15年ぶりに再登板」のニュースにも大変驚かされました。ここでふと浮かんだのが今回のテーマなのです。
マハティール氏は、1981年にマレーシアの首相に就任。以降、在任は2003年までの22年間にわたり、マレーシアを高成長に導いたカリスマ的指導者です。
彼が掲げた政策が「Look East政策」。国の近代化のために旧宗主国であるイギリスやその他欧米の先進国からではなく、東の国である日本から多くのことを学ぶべきというものでした。
マハティール氏は6月に訪日しましたが、復帰後初の外遊先に日本を選んだことで、対中融和姿勢を強めた前政権からの転換を鮮明にしました。
安倍首相との会談では二国間関係の深化で一致、「Look East政策」の復活とも報じられました。ただ「初代Look East」以降のマレーシアを含むアジア地域の高成長を考えますと、同地域との連携はむしろ日本にとって、より大きな重要性をもつと考えられます。
昨年、関西経済連合会の新しい会長に就任した住友電工会長の松本正義氏は、関西経済の再浮上に向け「東南アジアの活力を取り込む、Look Westの視点が重要」と述べられましたが、日本経済全体にとって同じことが言えるでしょう。
株式市場においても、アジアとの結びつきという視点がより重要になるものと考えられます。
4月に発表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しによると、欧米など先進国の成長率が2019年にかけ鈍化するなか、インドやAsean-5(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム)は逆に伸び率を高め、世界経済を下支える構図となっています。
特にインドは新興国のなかで唯一7%台の成長を維持する見通しです。インドの高成長をけん引するのが2014年5月に就任したモディ首相。モディ首相は高額紙幣の廃止やGST(物品サービス税)導入など、大胆な改革を断行する一方、インフラ投資や低所得者対策に注力し経済の底上げを進めています。
インドでは来年5月までにモディ首相の再選をかけた下院総選挙が行われる予定ですが、再選となればモディ首相の改革・成長路線は一段と強化されるでしょう。
こうしたなか、日本企業もインドでの存在感を高めています。
スズキ(7269)やダイキン(6367)はそれぞれ自動車、エアコンの分野でトップの市場シェアを有していますし、日立(6501)やJR東日本(9020)は「新幹線」方式を導入する高速鉄道整備事業で中心的な役割を担います。
NTTデータ(9613)は5月に地図情報最大手C.E. Info Systems社と業務提携、インド全土にわたるデジタル3D地図を整備することで基本合意しました。現地で測量せず効率的に地形を分析できる3D地図は、都市計画やインフラ整備、資源確保や災害対策など幅広い分野で貢献するものと期待されます。
ジェトロの調査によるとインドに進出している日本企業は年々増加し、2017年10月時点で1369社。投資家のみなさんも改めてインドの高成長の恩恵を享受する銘柄群に注目してみてはいかがでしょうか。
最後に話は飛びますが、私は今後国内でも「Look West(恐縮ながらここでは東京から見た「西」、大阪を中心とした関西圏を指すものとします)」が投資のキーワードになるのではないかと考えています。
大阪は、堅調なインバウンド消費や積極的なカジノ誘致計画などで注目を集めていますが、今年4月、2019年のG20首脳会議(サミット)が大阪で開催されると決定しました。
G20は、先進7カ国に中国やロシア、インドなどを加えた20カ国・地域が参加する国際会議の枠組み。サウジアラビアのように大規模随行団が高級ホテルを借り切るケースなどもあり、大阪市は期間中にのべ約3万人が訪れると予想しています。
消費関連や運輸、サービスなど幅広い分野で大きな経済効果が期待されます。さらに大阪市はG20開催決定で国際的な知名度が上がることにより、現在積極的に活動を展開している2025年国際博覧会(万博)の誘致にも弾みがつくと見ています。
もし実現すれば…。決定は11月。「大阪が化ける」きっかけになるかもしれません。
(ちばぎん証券 株式部長 大越秀行)