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MAB投信だより

米長期金利が急上昇!債券ファンドの成績は?

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

● 米長期金利が年初から0.5%超の急上昇となったが、債券ファンドのパフォーマンスは債券種別ごとに異なる結果となった。リターンに大きな影響を与えたのは、格付け構成とデュレーションと考えられる。

● 近年注目を集めているストラテジックインカム型ファンドは、機動的な運用によりデュレーションを短期化していたことで、マイナス幅を相対的に抑えることに成功した。

1.米長期金利が大幅上昇

表1は2017年9月から翌年2月までの米長期金利の推移を示したものである。

年初から長期金利の上昇傾向が顕著となったことが確認できる。長期金利は2月下旬には2.95%と、2014年以来の水準に到達した。

主な要因としては、堅調に推移する米雇用統計などの経済指標の発表を受け、今後の利上げペースが加速するとの観測が高まったことが挙げられる。また、トランプ政権の積極的な財政政策や米歳出上限額の引き上げ等も、国債の増発を招くとして金利上昇の要因となった。

図表1:過去6ヵ月間の米長期金利の推移

2.債券種別ごとのパフォーマンス比較

はじめに、債券種別ごとのパフォーマンスを比較する。為替変動による影響を除外するため、円ヘッジベースのリターンを参照した。

投資適格債中心で運用する「一般」のマイナスが大きい一方、ハイ・イールド債券等の低格付債のマイナスは相対的に小さいことが確認できる。また、短期債券や変動利付債、バンクローンといった金利変動の影響が限定的な債券も比較的良好なパフォーマンスとなった。

以上から、金利上昇局面においては、金利感応度が高い投資適格債ではなく低格付債が有利であり、デュレーションが長期のファンドよりも短期のファンドが有利なことが改めて確認できる。

図表2:外国債券ファンドのパフォーマンス比較(%)

※ 2018年2月末基準。リターンは円ヘッジベース。債券種別は弊社分類による。分析対象は投資地域が「米国」、「グローバル」のファンド。

3.ストラテジックインカム型ファンドのパフォーマンス

次に、近年注目を集めているストラテジックインカム型ファンドは、当該期間の金利上昇局面においてどのようなパフォーマンスを示したのか確認する。

ストラテジックインカム型ファンドとは、値動きが異なる複数の債券に分散投資をすることでリスクを調整しインカム収入の確保をめざすファンドのことをいう。

ここでは便宜上、最も純資産残高が大きい「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンドAコース」のパフォーマンス(円ヘッジ)を確認する。

なお、当ファンドが主要投資対象とする「ピムコ バミューダ インカム ファンド」(運用:ピムコ社)は、当ファンド以外にも複数の運用会社が設定する国内籍ファンドが投資対象としている(図表3)。

図表3:ピムコ社が運用するファンドへ投資する主要な国内籍ファンド(純資産総額はシリーズ累計、2018年2月末基準)

当ファンドの過去6ヵ月間のパフォーマンスは-1.16%となった。当ファンドが分類される「総合・他資産混合型」の平均値である-1.68%よりもマイナス幅が抑えられており、当ファンドの戦略は一定程度有効に機能しているといえる。

上記の主な要因は、デュレーションコントロールによるものと考えられる。当ファンドの現在のデュレーションは約2.3年と金利上昇に配慮した運用が行われている。残存期間が短い債券や高い利息収入が得られる債券の組入に加え、変動利付債(モーゲージ証券等)の組入が影響を与えているものと推測される。変動利付債がポートフォリオ全体に占める割合は3割程度に及んでいる。

一般的にいって、金利上昇局面では、債券ファンドの運用は厳しいものとならざるを得ない。しかし、当ファンドのように、残存期間や格付け構成の機動的な変更や変動利付債の組入によってデュレーションを調節する戦略は、中長期で安定的なパフォーマンスが期待できる運用手法といえよう。

図表4:債券種別の構成比(%)

図表5:ポートフォリオ特性値

出所:ピムコ社(2018年2月末基準)

(MABファンドアナリスト 標)