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MAB投信だより

顧客本位の考えをさらに進めると、投資リテラシーの観点によるファンド分類が求められる

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

● 個人がファンドを選ぶ際には、自分が受け入れ可能な価格変動リスクかどうかを確認するのが一般的だ。

● 顧客本位の考えをさらに一歩進めると、投資リテラシーの観点から、顧客にふさわしいファンドかどうかの情報も活用したい。

● 定量面では主要資産を代表する価格の動きとの乖離、定性面ではファンド分類を用いることで「理解しやすいか」「価格の動きに差異が出るか」「潜在リスクが潜んでいないか」を確認したい。

1.自分にあった価格変動リスクかどうかを確認する

一般的に、私たちが投資信託を考えるときには分類を用いる。何らかの物差しでファンドを分類しなければ、5千とも言われる膨大なファンドの特徴を掴むこともできなければ、投資するファンドを絞り込めない。

その際に当たり前のように用いられているのが、ファンドが組み入れる投資対象資産による分類だろう。株式や債券、REITなどの資産がそれに当たる。

なぜかといえば、特定の資産に投資するファンドが多いことに加え、資産ごとに期待される収益性や価格の動き、また、どのようなリスクがあるのか、その違いを示すものとして適しているからだ。

投資信託の販売用資料においても、国内株式、国内債券、外国株式などに分けて、リスク・リターンの図表を掲載している(図表1)。これを用いて、多くの場合、自分が受け入れることができるリスクに見合った価格変動リスクのファンドかどうかを確認するためだ。

販売サイドでも、価格変動リスクの大きさによって顧客が想定外のリスクに直面しないように、ファンドの販売時に配慮する。では、個人が投資を行う際に注意しなければならないことは、それだけだろうか?

図表1:主要資産のリスク・リターン(5年間)

 

2.これからは、投資リテラシーの観点による分類も意識したい

投資のリテラシーが高くない個人への資産形成への啓蒙において、もう一つ考えてもらいたいこと、それは個人のリテラシーに適ったファンドであるかという点だ。

たとえば、個人が外国株式のファンドに投資したと漠然と思っていても、実際にファンドの基準価額が一般的な外国株式ファンドのそれと同じように動くとは限らない。特定の地域に特化したファンド、テーマ型の中でも限られた業種に投資するファンドではそういった傾向が強くなる。

図表2では、さきほどと同様の基準で、外国株式に投資するファンドのリスク・リターンの分布を示している。同じ外国株式に投資すると謳っているファンドでも、価格変動も違えばリターンの水準にも大きくばらつきがある。

図の真ん中に大きな●で示しているところが、グローバルに外国株式に投資をするインデックス型ファンドだ。一般的な外国株式と同じような価格の動きをするものなのかを確認するために数字で定量的に捉えるならば、インデックス型ファンドとのリスク水準の違いをレイティング等で示してあげればよいだろう。

図表2:先進国株式ファンドのリスク・リターン分布(5年間)

 

3.投資のリテラシーを考えると、定性的な分類情報も活用したい

ただ、価格変動のリスクは、いつも同じように表れるとは限らない。普段は落ち着いた価格の動きをしているようでも、市場の流動性が低下すると、一気にリスクが顕在化し価格が急落する可能性があるものも存在する。

例えば、債券ファンドに属するハイブリッド証券は、数十年に一度はそういったことが起こると言われている。そのため、定性的な視点による確認も有効だろう。

リテラシーの観点からみた場合、ファンドの特徴は大きく3つに分けることができる。それは、①理解しやすいか、②価格の動きに差異が出るか、③想定外の価格の動きや大きなリスクが潜んでいないかだ。

これらはファンドの分類を用いることである程度は確認できる。今回は紙面の関係上ここまでに止めておくが、弊社のファンド分類を用いて、図表3に簡単な例を示しておく 。

顧客にファンドを提案する場合、顧客のリスク許容度に見合ったリスク水準かどうかを確認すると共に、顧客のリテラシーに則したファンドであるかどうかを定量・定性面で確認して販売することにより、信頼感をより高めることに繋がるはずだ。

図表3:投資のリテラシーと注意すべきファンドの組み合わせ

※ 〇はおおむね問題なし、△は注意すべきファンドもあることを示している

(MABファンドアナリスト 勝盛)