あなたはどれくらい投資が可能?

投資デビューしたいけど、投資してもよい金額はいくら?

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そろそろ投資デビューを!と思っても、いきなりすべての収入や貯蓄を投資に回すのはさすがにNG。では、自分はどれくらいの金額を投資しても良いの?と疑問に思っている人も多いことでしょう。そこで、投資を始める際によく質問を受ける「投資してもよい金額」の考え方をお伝えします。

■ 投資に回すお金の基本は「余裕資金」

みなさんご存知のとおり、株や投資信託などに投資する場合、利益を得られる可能性がある反面、値下がりしてしまうリスクもあります。そこで、投資をする際には「余裕資金」で行うことが大切です。

余裕資金というと、「余っているお金」を連想し、「余ったお金なんてないよ〜!」と、早速投資への意欲を失ってしまうかもしれませんが、ここでの余裕資金とは、簡単にいうと「当面使い道が決まっていないお金」のこと。お金持ちである必要はないですので安心してくださいね。

■ 余裕資金の見つけ方は?

余裕資金を計算するには、お財布を3つに分ける必要があります。

1つ目は、「日々出入りするお金」。これは、日常生活費やもしもの場合に備えるお金のこと。急な病気やケガで働けなくなったり、リストラや転職など人生の転機に備えたりといった、日々の生活を守るためのお金です。生活費の6ヶ月分ほどあれば安心でしょうから、預貯金などの流動性の高い金融商品でキープしましょう。

2つ目は、「5年以内に使い道が決まっているお金」。結婚費用やマイホームの頭金、留学費用などが当てはまります。使うまでに少し時間はありますが、いざ使う時に目減りしていては困りますから、たとえば、元本が減るリスクが低めで、預貯金よりも少しだけ利回りがよい「定期預金」や「個人向け国債」などへ預けるとよいでしょう。

3つ目は、「それ以外の残ったお金」。これが「余裕資金」になります。余裕資金とはいえ、将来の夢の実現や老後の生活などの元手となる大事なお金です。ただ必要となるまでに時間がありますので、ここはじっくりと増やすことを考えたいところ。そこで、まずはその一部を株式や投資信託などに投資して資産形成を始めてみるのがよいでしょう。

■ ではいくらから始めたらいい?

投資を始めるにあたり、おそらく一番怖いのが、「価格変動」でしょう。投資をしたものの、ずっと値下がりしてしまったらどうしようと不安に思う人も少なくないのではないでしょうか。

株式に投資した場合、それぞれの会社の株価は日々上がったり、下がったりを繰り返しますが、市場全体を見れば、長期的に経済が成長することで株式市場全体の価値は上がる傾向にあります。市場全体に投資をする投資信託を選ぶことで、こうした経済成長による価値の向上を享受することができます。

さらに、例えば分配金(株式でいう配当金のようなもの)を再投資する投資信託を選んで長期で運用することにより、利息が利息を生む効果である「複利効果」がより力を発揮します。

このように、「市場全体に」「長期で投資する」ことで、より効率的かつ安定的にお金を増やせる可能性があるわけです。

それでも、「投資はどれだけ損するか分からないからコワイ」と感じて一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

そこで心の準備として、「一時的に最大でいくら損を出してもよいか」を想定しておくという方法があります。たとえば最初はかなり保守的に、「余裕資金の最大10%までは一時的に損をしてもいい」くらいでスタートするとよいでしょう。100万円のうち、最大でも損失は10万円に抑えるというイメージですね。

では次に、余裕資金の10%を最大の一時的な損失として、どの金融商品にいくらくらい投資できるか考えてみましょう。

金融商品によって、「リターン:どれくらい値段が上がるか」と「リスク:どれくらい値段が上下するか」が異なります。リスクが高ければリターンは高く、リスクが低ければリターンも低くなります。銀行預金は元本が保証されてリスクが低いですが、その分リターンの金利も低い・・・ということです。

リスクの大きさは一般的には、「国内債券<外国債券<国内株式<外国株式」となります。どれくらい変動する可能性があるかというと、1973年から2012年の期間のデータでは、たとえば国内株式では年間で22.5%(※)となっています。

(※) 「年金積立管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更」 (2013年6月7日)より。

でも、リーマンショックのように大きく下落する年もありますし、細かい計算は大変ですよね。そこで最初は最も保守的に、「過去20年で変動が最大の年と同程度」となる、以下の変動率の数値を使ってみましょう。

● 国内債券:5%
● 外国債券:20%
● 国内株式:50%
● 外国株式:55%

■ 投資できる金額の具体例

例えば余裕資金が100万円あるとしますと、許容できる最大10%の一時的な損失額は10万円となります。次に、「国内株式に50万円、外国株式に50万円」投資した場合、上記の変動率から最大の損失額を計算すると、

国内株式 50万円×50%=25万円
外国株式 50万円×55%=27.5万円

となります。この配分では最大の損失額は52万5,000円となり、許容できる一時的な損失である10万円を大きく上回ってしまいます。もちろん相場が回復するまで我慢できるのであればよいですが、これだけの金額が損失として出ていると精神的に苦しくなってしまうかもしれません。

そこで、
「国内債券に80万円、外国債券に10万円、国内株式に10万円」投資するという具合に調整すると、

国内債券 80万円×5%=4万円
外国債券 10万円×20%=2万円
国内株式 10万円×50%=5万円

と、最大の損失額の合計は、11万円となり、許容できる一時的な損失であるところの10万円にかなり近づきます。万が一、相場が大きく下落して一時的な損失が出たとしても、心の準備が出来ていると受け止め方も変わりますよね。

このように、みなさん自身が許容できる一時的な損失額の具合により、何にどれくらい配分するのかを決めることができます。最初は、リスクを低めにして始めてみるとよいでしょう。

■ ちょっと応用:値動きをマイルドにする分散投資


大きな利益を得たいと思うと、つい、1つの商品に集中投資してしまいがちですが、国内株式への投資のように、最悪時には投資額の半分になってしまう場合があります。

昔からの格言に「卵はひとつのカゴに盛るな」というものがあります。いくつかのカゴに分散して卵を盛っておけば、ひとつのカゴを落として卵が割れてしまっても、他の卵は割れずにすむのでリスクを分散できるという意味です。

投資の世界でも同様に、「分散投資」をすることでリスクを分散できます。分散投資のポイントは、株、債券など、値動きの異なる資産や銘柄に分散すること。また、国内の景気が悪くても海外には景気のよい地域があり、もちろんその反対もありますので、地域を分散することも大事です。

4資産に分散して投資することで、価格変動をマイルドにすることができる(出所:東証マネ部!)。
4資産に分散して投資することで、価格変動をマイルドにすることができる(出所:東証マネ部!)。

資産をどう配分すればよいかは、家族構成や年齢、職業、資産の状況によって異なり、人それぞれです。また、前述した通り、リスク許容度によっても資産の配分は変わってきます。どうしたらよいかまだよくわからないという方も多いことでしょうから、たとえば最初は「国内株式25%、国内債券25%、外国株式25%、外国債券25%」と等分に投資してみるというのも一つの手です。

先ほど投資できる金額の具体例では、各資産の変動率からを計算された損失を単純に足し合わせて最大損失としましたが、実は資産を分散させることでポートフォリオの変動率はマイルドになります。等分に資産を配分するケースでは、最大の変動率を単純に合計すると32.5%ですが、実際は30%程度になります。

自分で資産配分を考えるのが大変という方には、バランス型ファンドという投資信託を利用する方法もあります。バランス型ファンドは、資産配分の比率が一定に維持されるようにファンドが運用されますので、放っておいても当初の比率のままで分散投資を続けることができます。さらに積立投資を行えば、自動的に毎月決まった額を投資することができます。

このように投資には様々な方法がありますが、まずは保守的な「投資できる金額」の範囲内で、シンプルな投資を始めてみてはいかがでしょう。慣れてくれば少しずつ取れるリスクを増やしていったり、色々な投資方法や金融商品を試していったりすることで、より効率的に資産を増やしていくことができるでしょう。

(All About「ゼロからお金を貯める」ガイド 高山一惠)

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