日本株10年の後、リーマンショックで米国株へ…
投資ブロガー・たぱぞうさん「将来ある米国株に分散投資で資産形成」
今やスマホ一つで世界中の情報が手に入る時代。投資においても、海外の株や債券にまつわる情報を集め、手軽にトライできるようになった。そのため、日本株メインで運用してきた投資家が、より大きなリターンを求めて海外投資へ軸足を移すケースも少なくない。ブログ「たぱぞうの米国株投資」を運営する“たぱぞう”さんも、日本株から米国株の運用へとシフトした一人。そのきっかけや、米国株投資の魅力を語ってもらった。
■今後20、30年持ち続けられるか…。リーマンショックで気付いた「米国株の可能性」
現在40代前半のたぱぞうさんが投資を始めたのは17年前。就職したての頃だった。株をやっていた祖父や父の影響もあり、初任給で早速株を買ったという。
「最初は割安な株に長期投資をする『バリュー投資』から始めました。それまでやっていた株のシミュレーションサイトであまり負けたことがなかったので、実運用でもうまくできると考えていましたね」
しかし当時はIT不況真っ只中。その後も金融危機、ライブドアショック、サブプライムショック…と短いスパンで市場を揺るがす危機が続いた。そのため、思いのほか資産を築くことはできなかった。
「10年ほどは日本株を運用し続けてきましたが、大した儲けにはならなかったんです。そこで、リーマンショックで軒並み下がったゴールドマンサックスなどの米国株に手を伸ばしてみました。米国にはグローバルに展開する企業が集まっているし、そういう企業に投資できたら素敵だな、と思って」
その後、しばらくは日本株・米国株の“二束のわらじ”で運用していたが、2014年には全て米国株に移行した。
「米国株のほうがリターンが大きかったんです。なぜなら、米国はずっとGDPが上昇していますし、今後数十年は人口が増え続けるという統計も出ていて、何よりも株主尊重の法律がきちんと整備されている。一方、日本の人口は今後も減り続けていく。GDPも良くて漸増、横ばいだろうし、自らの状況を振り返ってみても、所得が増えた実感はない。今後20年、30年、商品を持ち続けられる確信が持てないと感じ、米国株に完全移行しました」
■「2つの分散」を意識すれば、初心者でも米国株は運用できる
投資初心者にとっては難しそうに思える「米国株」だが、たぱぞうさんいわく、運用は「非常に楽」だという。
「日本株を持っている時は、相場を見て売り買いしていました。一方、米国株は良いと思った企業のものを選び、分散投資していれば、その企業が余程変なことをしない限り、基本的に持ち続けていればいい。相場を読む必要はあまりなくなりました」
なお、初心者が米国株投資を始める際は、米国に上場しているETFを入口にすると良いそうだ。
「ETFは、何千株にも分かれたものの集合体。ですからETFを買うと一発で分散投資になる。後は持ち続ければいいだけです。私も10~15%は米国に上場しているETFに回しています」
たぱぞうさん自身も「分散投資」を徹底。一つの銘柄につき、10%以上の買い入れはしないようにしているという。
「銘柄を分散してリスクヘッジすることはもちろん、“時間”を分散させることも大切です。まとまった金額があっても高値の時に一気に買うと損なので、数年かけてゆっくり買っていく。毎月のお給料から少しずつ積み立てていくのもいいと思います。米国はこれから人口が増え、比例して経済規模も大きくなるので、基本的には持ち続けていればいい」
■将来の不安があるからこそ、外に目を向けることが大切
2016年にブログを開設し、それがきっかけとなって現在は某投資顧問業者でアドバイザーの仕事もしているたぱぞうさん。ブログを始めたのは、「自分の親族や同僚、友達に投資のことを伝えたい」という気持ちからだったそうだ。
「私はそんなに資産や才能があるわけではなくて、“普通の人”なんです。でも10年以上投資をしてきて、普通の人でも資産が築けるということが分かった。だから、日頃お世話になっている人たちにも、その方法を伝えたいと思ってブログを書いています」
社会福祉をはじめ、日本の将来に不安を感じている人は多い。だからこそ、米国株に目を向ける重要性があると考えている。
「日本人は、周囲を尊重するあまり、革新的なことを生み出すのが苦手だと思うんです。私自身ずっと日本の組織で働いてきたからこそ、なおさら感じます。そういう文化は居心地がいいし、好きなんですが、社会は“革新”を求める。だから投資においては、革新を求める市場に投資していきたいと思っています」
日本にいても、インターネットを見ると各国の投資情報が発信されている。投資においては「国産」にこだわらないというのも、将来的な資産形成のヒントになるのかもしれない。
(周東淑子/やじろべえ)