相場格言シリーズ
卵は一つの籠(かご)に盛るな
提供元:トウシル
どんな格言?
リスクのとり過ぎは禁物
相場格言であり、「資産運用の王道」を表す言葉。
欧米で古くから言われる「Don’t put all your eggs in one basket.」を日本語訳したものだ。
「卵を1つの籠に盛ると、その籠(かご)を落としたときに全部割れてしまう可能性がある。複数の籠に盛っておけば、そのうち1つの籠を落としても、他の籠に盛られた卵からやがて“ヒヨコ”が生まれ鶏(にわとり)に育つ可能性がある」との意味。
【投資の世界では】
1つの個別銘柄、1カ国の市場(マーケット)に、1つの資産(たとえば、株式だけ)に集中投資するのは、それだけリスク(リターンのブレ)を取ることでもある。リスクを抑えたければ、分散投資(バランス運用)するべき。これは、投資や資産運用のセオリーだ。
【わかりやすい例】
「この銘柄に投資をすれば儲かる」と思えるのは自信があるからだろう。とはいえ、投資資金のすべてを1銘柄に注ぎ込むのはリスクが大きすぎる。
予想が当れば利益は大きいが、外れると損失も大きい。株式投資でたとえるなら、自動車メーカーだけに投資するより、リターンとリスクのタイミング(値動きなど)が自動車と異なることが多い薬品メーカーと合わせて投資したほうが、リスクを分散(抑制)できる可能性がある。
どう投資に生かす?
バランス運用がたいせつ
個別銘柄ひとつに投資するより、複数の業種(セクター)、複数の市場(国)、複数の資産クラス(国内株式だけでなく外国株式や内外の債券)に分散投資することで、投資資産全体のリスク(リターンのブレ)を和らげる効果が期待できる。
私たちが老後に向けた公的年金の運用を任せているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に広く分散投資しているのは有名。
ハイリスク・ハイリターン(個別銘柄のリスクをとる)投資ではなく、ミドルリスク・ミドルリターン(運用資産を着々と増やす)投資を目指す場合の教訓としたい。
これも覚えて◎
「投機」と「投資」の違いは?
今回は「投機」と「投資」の違いを知る機会にしたい。
投機は「機会に乗じ短期的な値幅を狙う投資」を意味し、投資は「長期的な利益や配当の成長を期待して資金を投じる」こと。この2つの言葉はしっかりと使いわけるべき。
実は「投機」で儲け続けるのは、投資の専門家やディーラーの間でも難しいことが知られている。一般の投資家には、「卵を一つに籠に盛らず、複数の籠に分けて着実に資産を成長させていく」ことを肝に銘じた長期のグローバル分散投資をおすすめめしたい。
今回のお作法
大事なお金を育てるなら、一極集中より、分散を。
(楽天証券経済研究所 チーフグローバルストラテジスト 香川 睦)
関連リンク
楽天証券の投資情報メディア「トウシル」。お金と投資をもっと身近に!をテーマに、資産運用やトレードのための情報とともに、家計やライフプランなどお金にまつわるお役立ち情報を提供しています。