2万5470通りの診断結果から最適なものを提案
【ロボアド】初心者に寄り添った客観的アドバイス「Funds Robo」
質問に回答していくことで、回答者のニーズに合うポートフォリオを提案してくれる「ロボアドバイザー(通称ロボアド)」。
今回は、“客観性”を重視し、投資初心者にも使いやすい設計を心がけているというロボアドサービス「Funds Robo」について、同サービスを運営している野村アセットマネジメント投資信託営業企画部戦略マーケティングチームの内海俊夫さん、瀧本淳さんに聞いた。
将来性と答えやすさを重視した質問
「Funds Robo」の最大の特徴は、金融商品の販売会社ではなく資産運用会社の野村アセットマネジメントが手掛けていることという。
「私たちは販売会社ではないので、金融商品の販売につなげることよりも、投資が初めての方でもわかりやすいことやお客様の要望に沿う結果を提案することに重きを置いています。その中で、できあがったものが『Funds Robo』です」(内海さん)
「Funds Robo」は7つの質問に回答し、診断結果が出るところは一般的なロボアドと同じだが、質問内容が特徴的とのこと。例えば、収入を具体的に聞くのではなく、「景気が良くなると収入は増えますか?」と、将来を見据えた回答を求める。
「30代で今後収入が増える可能性があれば、株式を多くして多少リスクをとっても大丈夫と診断します。一方、定年間近で収入が減るのであれば、債券などでリスクを抑えたポートフォリオを提示します。今後の収入でポートフォリオが変わる仕組みになっています」(内海さん)
7つ目の質問では、ユーザーに「できれば投資したくないと思う資産」を選ばせる。まだ投資知識のない初心者にとって、投資したいものを選ぶのはハードルが高い。しかし、なんとなく投資したくないと感じるものであれば選べるかもしれない。このように、ユーザーの答えやすさを意識していることが伝わってくる。
■世代、収入に応じて変化する診断結果
診断結果のページでは、回答をふまえて5つのスタイルに分類され、スタイル別のポートフォリオが表示される。リスク許容度だけでなく、年代や収入の見込みに応じて、ポートフォリオにおける株式や債券などの組み合わせが変化する。
「提示されるポートフォリオは首都大学東京の内山朋規教授に監修してもらうなど、客観性を保つようにしています。回答によって提案内容は細かく変わり、2万5470通りのポートフォリオが提示されますので、より要望に応じた組み合わせを見つけていただけると思います」(内海さん)
提案されるポートフォリオは「個別ファンド」と「バランスファンド」の2つのパターンを見ることができる。「個別ファンド」は、国内株式や海外債券などのアセットクラスについて、野村アセットマネジメントのインデックスファンド(「Funds-i」シリーズ)を細かく組み合わせるもので、実際に投資をする場合には各ファンドを個別に購入する必要がある。
バランスファンドとは各アセットクラスを組み合わせて1つのパッケージとしたファンドのこと。「バランスファンド」のページでは、野村アセットマネジメントの「My Funds-i」の5タイプのバランスファンドのなかから、診断されたスタイルにもっとも近いファンドが提示される。
「バランス型の『My Funds-i』は、購入した後に運用をお任せするタイプのファンドです。自動的にリバランスも行いますので、ある資産が大きく値動きしても、構成比率を調整するために自分でファンドを売買する必要はありません」(瀧本さん)
ただし、「Funds Robo」はあくまでも診断をするのみのロボアドで、直接ファンドを購入することはできない。銘柄名をクリックすると、販売会社一覧が表示されるため、その中から購入先を選択することになる。
ちなみに、診断結果はウェブ上に自動で保存され、再び「Funds Robo」のサイトに訪れた際に確認できる。また、最初に診断した時から再訪した時までの間に、提示されたポートフォリオがどのような値動きをしているかもチェックできる。
「診断から1カ月経ってから、再びチェックした時にポートフォリオがいい方向に推移していれば、投資を始めるきっかけになりますよね。自分の診断結果の実際の値動きがわかると、投資を自分ごととして捉えやすくなると思います」(内海さん)
投資学習アプリにも搭載
2017年3月には、投資に関するクイズなどが楽しめるスマートフォン用アプリ「moneby(マネビー)」にも搭載され、より身近になった「Funds Robo」。初めて投資に触れるきっかけにしてほしいという思いの一方で、中上級者にも活用してほしいという。
「野村アセットマネジメントでは、12月に資産形成の『核』となる6銘柄のETFを新たに上場しました。『Funds Robo』ではインデックスファンド(投資信託)でポートフォリオを組みますが、同様のカテゴリのETFが出揃ったため、投資中上級者の方でETFを活用されている方は、インデックスファンドと置き換えてETFを購入するためのツールとしても使っていただけると思います」(内海さん)
現在、野村アセットマネジメントのインデックスファンド(「Funds-i」シリーズ)のリブランディングも予定しているとのこと。さらに投資を身近に感じることができるようになることだろう。
まずは質問に答えて診断してみるだけで、すぐに投資を始めなくてもいい。1週間、1カ月経った頃に再び「Funds Robo」にアクセスし、前回の診断から現在までのポートフォリオの値動きをチェックしてみよう。実際の値動きの感覚を持ってから投資を考え始めても、きっと遅くはないだろう。
(有竹亮介/verb)
【Funds Roboのデータ】(2017年12月現在)
・サービス開始 :2017年1月にリニューアルオープン
・利用者層:20~30代
・サービスタイプ:提案型
・投資対象 :インデックスファンド(Funds-iシリーズ)またはバランス型ファンド(My Funds-iシリーズ)
・最低投資額 :販売会社によって異なる
・手数料 :無料
※記事の内容は2017年12月現在の情報です