投資信託のトレンドが分かる!
2018年5月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2018年5月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「全体では僅かながらも資金流入は継続 株式ファンドは流入縮小、債券ファンドは流出拡大」
5月の資金流出入動向は約390億の流入超と、前月に続き僅かながらも流入超となった。4ヵ月振りに前月(約270億円)からは増加したものの、依然として低水準に留まっている。株式ファンドへの流入規模の縮小および債券ファンドからの流出傾向が継続している。
資金流入では、外国株式(約1,520億円)、複合資産(約1,280億円)、エマージング株式(約570億円)の順に資金を集めた。
株式ファンドへの流入は継続しているものの、縮小傾向となっている。特に、国内株式ではこれまで資金流入をけん引していた「ひふみプラス」への流入に陰りがみられたことに加え、一部のファンドでは利益確定売りに押される動きもみられた。
資金流出では、不動産投信(約1,280億円)、外国債券(約1,050億円)、ハイイールド債券(約650億円)から資金が流出した。特に、外国債券では前月(約720億円)から流出額が大きく拡大した。5月前半に米長期金利が再び3%を超え上昇して推移したこと等が影響したものと考えられる。
個別ファンドでは、前月に続き「次世代通信関連世界株式戦略ファンド」(三井住友トラスト)(約440億)が1位、前月新規設定の「日本厳選割安株ファンド2018-04(繰上償還条件付)」(三井住友トラスト)(約230億円)が2位となった。3位には「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) 」(アセットマネジメントOne)(約200億円)がランクインした。
直近6ヵ月の資金流入額上位はロボットや自動車関連技術のテーマ型株式ファンドを中心に、その顔ぶれに変化はみられない。ただし、5月単月ではロボット関連のテーマ型株式ファンドは流入額上位から姿を消しており、一部では流出超に転じるファンドもみられるなど、これまでの傾向には変化がみられている。
資金流出では、依然として不動産投信を中心に、毎月分配型ファンドからの流出が目立つ。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「不動産市況の回復や金利の低下を受けREITが上位に」
5月の株式市場は、前半は世界的な企業業績拡大への期待から上昇したが、後半は欧州における政情不安や米国を巡る貿易問題に対する懸念から下落し、通して見れば大きな変動はなかった。
一方、新興国ではアルゼンチンやブラジルを中心に通貨安が進行し、資金退避の動きが加速したため、株価は下落基調で推移した。
債券市場は、主要国の債券利回りは低下した。欧州ではイタリアやスペインなど政治情勢が不安定であることを嫌気して、ドイツ国債が買われ長期金利は低下した。米国では月後半の原油価格の急落を受けて長期金利が低下、日本も海外につられる形で金利は低下基調で推移した。
為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円高となった。世界的にリスク選好姿勢がやや弱まり、安全通貨である円が買われる展開となった。ユーロは、イタリアやスペインの政情不安の高まりから、1ヵ月で約5%程度ユーロ安が進行した。
これらを背景に、5月の投信市場ではリターンがマイナスとなる資産が目立ったが、そのなかで不動産投信のリターンが1位となった。不動産市況の改善や米国の金利高が一服したことで、前月に続きプラスのリターンを維持した。
一方で新興国資産のリターンは下位となった。一部の新興国で通貨防衛のため利上げによる緊急措置がとられるなど市場の不安定化が嫌気され、パフォーマンスの悪化につながった。
個別ファンドでは、米国株式に投資するファンドを中心に外国株式が上位に並び、また、米国やオーストラリアの長期金利が低下したことから、関連する不動産投信も上位に位置した。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定額は大幅に増加」
5月の新規設定は30本と前月(29本)と同水準であったが、設定額は約660億円と前月(約200億円)から大幅に増加した。設定額上位には年1回決算型の外国株式や複合資産が目立った。
当月に新規設定された個別ファンドでは外国株式、複合資産が上位に並ぶなか、エマージング株式の「マシューズ・アジア株式ファンド 」(AM-One)が多くの資金を集めた。同ファンドは日本を除くアジア地域に関係する株式を主要投資対象とし、アジア経済の成長の恩恵を受けつつ持続的な収益を生み出すと期待される銘柄を中心に投資を行う。
(図表3) 新規設定金額、設定本数の推移
最後に、5月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4) 資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)