投資ブロガーが語るリアル体験

個人投資家ってどんなふうに儲けてるの?

デイトレーダー・むらやんさんの「仕事風景」に密着

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資産運用により生計を立てる個人投資家。一般的な会社員からすると、その存在は異質に感じられるかもしれない。一日中パソコンの前に張り付き、数字とにらめっこする――そんな「仕事風景」をイメージする人も多いのではないだろうか。

そこで、実態を探るべく今回はデイトレーダー・むらやんさんの自宅を訪問。いつも通りのデイトレードの様子を見学させていただいた。

9台のモニターを備えた、自宅デイトレ部屋

2005年、知識ゼロから株式投資を始めたというむらやんさん。開始から3カ月で250万円を失うも、そこから火がつき猛勉強。マイナスを補ってあまりある、2億円近い資産を株式投資によって形成したという。

そんなむらやんさんの自宅は大阪。その一室がデイトレ部屋だ。デスクには何台ものモニターが多面鏡のようにレイアウトされ、それぞれに株価やらチャートやらが表示されている。そうそう、デイトレーダーってこういうイメージ。

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「実際に取引に使っているのは正面のモニター1台ですが、周りのモニターは市況全体の雰囲気をなんとなく把握するために80銘柄くらいのチャートを表示しています。ぱっと見て、良い日なのか悪い日なのか掴むためと、目立つ動き、面白い動きをしている銘柄を見つけるためですね。デイトレードって、そういう『変わりもの』を探すのがキモだったりするんで。ほとんどの銘柄が下がっているのにひとつだけ逆行して上がっていたりする場合、デイトレーダーは『何かある』と考える。そうするとその銘柄にみんな集中するので値動きが激しくなって、勝てるチャンスが増えるんです」(むらやんさん、以下同)

なお、表示しているのは主に東証一部の有名企業の銘柄、新興市場で売買代金の多い銘柄、さらにその時に盛り上がっているもの、たとえばIPOや個人投資家が好んで取引しそうな「値動きが大きい銘柄」だという。ちなみに、東証一部の取引が活発に動く日は新興市場が停滞し、また、その逆もあるそうだ。「個人投資家って新興市場が好きなので、今日は『東証一部の日』だからやることないねっていう人も多いですね」とむらやんさん。

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意外とのんびり? デイトレーダーの1日とは?

さて、デイトレーダーの1日とはどういう感じなのか? むらやんさんのオーソドックスなスケジュールを、ざっくりと教えていただいた。

「東証のマーケットが開くのが9時なので、8時20分くらいに起きてモニター等の準備やニュースのチェックをします。夜中のアメリカの値動きとか為替の動きの確認だったり、その日に盛り上がりそうな銘柄について予測を立てる。前日までにだいたいの銘柄のアタリはつけているので、その中から特に気になるものをピックアップして予測する感じですね」

9時に開場したら、以降はずっとモニターにかじりつき……というわけでもないらしい。

「10時くらいになると、いったん値動きが落ち着くことが多いんですよ。なので、ここからしばらくは様子見、『のんびりタイム』です。だいたい10時から14時くらいまでの間でランチ休憩を1時間はさみますね。のんびりタイムは14時以降に動きそうな銘柄を探したり、明日動きそうな銘柄をピックアップしたり。3カ月前くらいからのチャートの動きを見て、予測を立てながら物色する時間です」

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“勝負”は15時の東証のマーケットが閉まるまでの数十分。引け前と呼ばれるタイミングだ。

「目星をつけておいた銘柄をいくつか買い、基本的にはその日のうちに売って完結。次の日まで一つの銘柄を持ち越すことは、あまりしません。15時に取引が終了したらその日の収支を計算し、明日に向けた準備。まず、何か大きなニュースはないか? たとえば今日(編集部注:取材日は7月6日)は13時にトランプ(米大統領)さんが中国製品に対する関税を発動するという報道があったので、13時以降の値動きに特に注目していました。そこまで大きな影響はなかったですけどね。あとは、銘柄ごとのニュースなんかをSNSでざーっとチェックします。と、こんな感じですね。僕はそんなに頑張るほうじゃないので、いつもだいたい今日みたいにのんびりやってます。とくにここ最近は全体的にあまり美味しくない相場になっているので、こういう時期はあまりガツガツしません」

では、逆に市況がいい時は、ガツガツ儲けにいくこともあるのだろうか?

「今はもう、そういうスタイルではやってないですね。そのスタイルが得意な投資家もいるとは思いますが、私には合わなかったんです。まあ一時期はそれこそ、絶え間なくカチカチ取引してましたけど。でないと、儲け損なうんじゃないかって不安だったんです。10時から14時の間に、無理やり稼ぎにいこうとしていました。でも、結局全然儲からなかった。トータルで見たら、逆に損していたくらいです。ですから、私にとって予測が立てにくい難しい時間帯に無理をしても意味ないなと。無理するのをやめたら、途端に収益が上がりましたよ」

ちなみに、この日は3銘柄ほどエントリーし、収支はプラス80万円ほど。なんだかんだいっても、きっちり勝っているのはさすがである。

「今日は10時までの取引がほぼ全てでしたね。引け前のラスト10分も“ちょっとだけ”買ったんですけど、とある銘柄を415円で5万株。でも、動かなかったのですぐ売りました」

415円を5万株ということは2000万円である。……えっと、「ちょっとだけ」っておっしゃいましたよね??

当初想像していたデイトレーダーのガツガツしたイメージとは異なり、拍子抜けするほどゆったりしていたむらやんさんの投資スタイル。しかしその一方で、顔色ひとつ変えずに数千万円の取引をポンポンできてしまう一面も。

ともあれ、むらやんさんの仕事風景を見る限り、デイトレードは必ずしも、一般的にイメージされるような殺伐としたものではないようだ。

取材・文:榎並紀行(やじろべえ)

■取材協力
むらやん 村上直樹 (@cadillac600) | Twitter

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