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MAB投信だより

資産配分を変動させるファンドの投資成果は?

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

●複数の資産を組み入れた複合資産型には安定的に資金流入が続いており、そのなかでも資産配分を変動させるタイプの人気が高い。
●ただし、資産配分を変動させるタイプ全体では、配分を固定するタイプと比べて、必ずしも良い投資成果が得られているとは言えない。
●資産配分を変動させるタイプのリスク・リターンにはばらつきがあるため、できれば長期間の運用実績による確認をしたい。

1.一定範囲内で配分比率を変動させる運用は機能している?

公募投信への資金流入が伸び悩む中でも、複数の資産を組み入れた複合資産型には安定的に資金流入が続いている。資産形成のコアとして分散投資によるポートフォリオの認識が高まっていること、価格下落リスクを抑えたいなどのニーズに応えた商品性や複数資産への投資を通じた多様な収益源による安定的な分配を提供するファンドなど、複合資産型の役割が高まっていることが反映している。iDeCoやつみたてNISAにおける長期投資の投資対象としても注目される。

今回は、そのなかでも最近人気が高い、資産配分を変動させるタイプについて、その効果を確認してみたい。弊社では、複合資産型の運用に関して、資産配分を固定・変動させるタイプとしては図表1のように分類している。

図表1 MABアナリスト分類、複合資産型ファンドにおける資産配分の変動・固定タイプの分類

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上記分類に基づいて、まず、資産配分比率が一定範囲内で運用される「①安定型・安定成長型・成長型」の区分において、配分比率を固定させる運用(A)と変動させる運用(B)について比較してみよう。なお、平仄を合わせるため、伝統的4資産を組み入れるファンドのみを対象とする。

図表2は、安定型等の各区分において、配分比率変動と固定の各ファンドのリスク・リターンの平均値を示したもの。全体の傾向として、配分比率を変動させることによる運用は、計測期間(直近3年間)において十分な投資成果を確保しているとは言えないようだ。

図表2 安定・安定成長・成長型における、配分比率変動・固定スタイルのリスク・リターン平均値2※計測期間は、一定の母集団を確保するため3年間(2015年8月~2018年7月)とした。以下同じ。

図表3は、さきほどの種別のうち、安定型を例として、個別ファンドのリスク・リターン分布を示したもの。当然のことながら、変動させるファンドではリスク・リターンの水準はまちまちであるが、その中でも一例をあげると「年金積立GW・バランス」(日興アセット)など、計測期間において良好な投資効率(リターン/リスク)を示しているファンドもたくさんある。

図表3 安定型における、配分比率変動・固定の各ファンドのリスク・リターン3

2.より大きく配分比率を変動させるアロケーション型はどうだろう

次にアロケーション型ファンドの投資成果について見てみよう。アロケーション型(図表1の②)は、市場の局面によってはキャッシュの比率を高めるなど基本的な資産配分を大きく変更して価格変動に対応する。これに対して、市場が変動しても資産の配分比率を一定に保つタイプ(図表1の②-A、安定・安定成長・成長型における配分比率の固定)と比較する。

図表4 アロケーション型と配分比率固定のリスク・リターン平均値

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図表4は、それぞれのリスク、リターン、投資効率(リターン/リスク)の平均値を示している(図表2を表にしたもの)。この数値を見る限り、アロケーション型においても、全体としては、直近3年間において十分な投資成果を確保しているとは言えないようだ。

図表5は、これらについて、個別ファンドのリスク・リターンを表示したもの。なお、アロケーション型(緑のドット)については、純資産残高の大きさによって表示フォントにも一定の差異をつけているので、大きなドットは残高が大きいことを示している。

図を見る限り、アロケーション型ファンドでは「スマート・ファイブ」(毎月決算型)や「JPMベスト・インカム」など投資効率の良い残高の大きいファンドが見られる一方で、そうではないファンドも散見される。

図表5 アロケーション型と配分比率固定の各ファンドのリスク・リターン5

今回は一定の母集団を確保するために3年間としたが、一般的に、運用状況の良し悪しを確認するために、長期の運用実績を有するファンドの中から投資成果等をチェックしてファンド選びをすることが良いとされている。配分比率を変動させるタイプでも、同様のことが言えよう。

(MABファンドアナリスト 勝盛)